ゴルゴちゃん13才、伝説のすた丼屋に行く。6




「こちら、お待たせしました」



 やがて女性店員が、トレイに載せたチャーハンと豚汁を持ってくる。



「ごゆっくり、どうぞ」



「…………」



 ほう、とゴルゴちゃんはチャーハンと対面し、わずかに太い眉を動かす。


 ミニサイズのはずだが、しっかりと量があった。


 なるほど、店員がゴルゴちゃんに確認を取るはずだ。


 普通の女性ならばこれだけで、大抵満腹になるだろう。


 それでいて──米粒がぱらぱらになっている様子が見て取れる。


 どうやら情報屋の言葉は正しかったようだ。


 見た目からも美しい、極上のチャーハンがここにあった。


 しかし、ゴルゴちゃんはチャーハンから手を付けない。



「…………」



 チャーハン用のレンゲはひとまず置いておき、テーブルにあった割り箸を手に取った。


 こういうとき、最初は汁物から──。


 それがゴルゴちゃんの、鉄のルールだ。


 ずっ。


 豚汁を一口飲めば、意外にも甘さが口の中に広がった。



「…………!?」



 白味噌仕立てか? と一瞬面食らうが、どうやらそういうわけでもないらしい。


 見た目は確かに、味噌の色は白っぽかった。


 けれどもこの甘さは、たぶん中にたっぷり入っている野菜のせいだ。


 箸でつまめば、大根やゴボウ、ニンジンなどがごろごろしていた。


 しかしそれだけで甘みがこれだけ出るものだろうか?


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