ゴルゴちゃん13才、伝説のすた丼屋に行く。5


 だが同時に、ミニだけでは物足りない、という気持ちも湧き上がってきた。


 そんなときふと目に入ったのは、サイドメニューにある「豚汁」の存在だった。


 ──どうやらすた丼屋では、基本的にどのメニューにも「みそ汁」がついてくるものらしい。


 それを豚汁に変更することもできるのだ。


 ちょうどいい。


 すた丼は今回頼むことがなかったが、そのぶん豚肉が欲しかったところだ。



「……あと、みそ汁を豚汁にして欲しい」



「はい。チャーハンミニで、豚汁変更ですね」



 かしこまりました、と店員がゴルゴちゃんから離れていった。


 あとは来るのを待つだけだ。


 ゴルゴちゃんはメニュー表を見ながら、時間をつぶすことにする。


 別に期間限定メニューだけが書かれたものもあり、こちらもおいしそうだった。


 あと、持ち帰りもできるようだ。



「…………」



 ゴルゴちゃんは中学生だが、一人暮らしだ。


 だが家族に頼まれたふうを装って、持ち帰りを頼みに来てもいいかもしれない。


 家族か──。


 フ、とゴルゴちゃんは苦笑する。


 そんなもの、一度も持ったことはないのだけれど。


 過酷な環境で生まれ育ったからこそ、ゴルゴちゃんは今の秘密の仕事を手掛けるようになり、一人で生きているのだ。


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