ゴルゴちゃん13才、伝説のすた丼屋に行く。3



「ご注文が決まりましたら、そちらのボタンでお呼びください」


 お冷を持ってきた女性店員が、テーブル脇に置かれた呼び出しボタンを示し、いったん離れていく。


 もちろんゴルゴちゃんのオーダーは決まっていた。


 看板商品のすた丼──それ以外にあり得ない。


 だからすぐに、ゴルゴちゃんは店員を呼ぼうと、ボタンに手を伸ばしたのだが。



「…………?」



 その側に立てかけられていたメニュー表が目に入り、指先が止まった。


 そこには薄い豚肉が山盛りに乗り、中央に生卵がトッピングされたすた丼が、燦然と輝いていた。


 けれども同じ外観の「生姜丼」なるものもある。見分けがつかない。


 さらに、ニラと豚肉を炒めた「塩すた丼」もあれば、とろろと組み合わせた「とろすた丼」も。


 辛そうな色合いの「ピーカラ丼」や、丼ではなく白ご飯とセットになった定食まであった。


 そしてメニューの端を占めていたのは、なんと数々のラーメンである。


 醤油に味噌に油そば──。それらは丼と組み合わせることも可能らしい。


 餃子や冷奴に、サラダまであった。


 ものすごく充実したラインナップだ。


 ──思わず女性グループの席を確認すると、彼女たちは大きなサラダを分け合い、唐揚げなどを楽しんでいた。


 確かにサラダには「シェアサラダ」なるものがあった。


 そういう食べ方もアリな店ということだ。


 しかし、こうラインナップが多いと──困る。



「…………」



 ゴルゴちゃんの胸が揺らいでいた。


 ごくり。


 喉が鳴る。


 どれもおいしそうなのだ。


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