ゴルゴちゃん13才、築地に行く。13



 それにしても、かかっていたルーはものすごく辛口だった。


 うまいが、舌が痺れてくる。


 それでもぷりぷりのエビと、横にあるサラダの生野菜が口の中をリフレッシュしてくれた。


 やはりこれも、組み合わせを考えてのものだろう。


 ──レモンスカッシュ同様、カレースパのパスタもなかなかのボリュームがあった。


 しかしゴルゴちゃんはうまさに押され、あっという間に平らげる。



「…………」



 あとは、レモンスカッシュの残りを飲み干すだけだ。


 けれどもゴルゴちゃんは急がない。


 じん、と口の中をしびれさすスパイスの余韻を楽しみながら、じっくりとレモンスカッシュを堪能した。


 最後に氷と、レモンの輪切りだけが残る。


 からん、とグラスを傾けて氷を含むと、最後に輪切りにかぶりついた。


 最後の酸味が舌を刺し、やがて氷とともに溶けていく──。


 ゆったりとした時間の終わりを告げながら。


 そうだ。一時の夢は終わった。



「…………フ」



 ゴルゴちゃんは苦笑する。


 もとより自分には、こんな穏やかなときは似つかわしくないのだから。


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