ゴルゴちゃん13才、築地に行く。12



「はい。カレースパと、サラダね。ごゆっくりどうぞ」



 ああ、しかもなんということだろう。


 スパゲティーには小さなサラダまで、サービスでついてくるのだ!


 だが──なによりもゴルゴちゃんは、やってきたカレースパのビジュアルに息を呑まされていた。



「…………!?」



 カレー粉と一緒に炒められたパスタに、たっぷりのカレールーがかけられている。


 その上には半分に割られたゆで卵が載せられていて、さらに豆苗と、刻んだ大葉が鮮やかな緑色をそえていた。


 かなりお洒落な外見だ。大きめのエビがルーのあちこちに確認できるのもまた、いい。


 しかし、カレーに、大葉?


 いったいどんな味になるのか、想像も付かない。


 大葉の風味が勝るのか、それともカレーがすべてを掻き消してしまうのか──。


 とにかく食べてみよう。


 フォークでくるくるとパスタを巻き、大葉まみれのカレーが絡んだそれを、まずは一口。


 ぱくり。



「…………!!」



 ごろり。


 最初に舌に触れたのは、辛口のカレーに隠されていた、野菜の風味だ。


 タマネギの甘みと、なんだ?


 強い、苦み!?


 ──そう来たか。ゴルゴちゃんは太い眉をわずかに動かす。


 貫通力の高いライフル弾のごとき辛さだが──それを大葉の個性と、仕込まれた「ピーマン」の苦さが受け止めていた。


 正直なところ、ゴルゴちゃんはピーマンが苦手だ。


 苦みより、甘みを欲する乙女なのである。


 けれども油で鮮やかな緑色を放つこの伏兵は、辛口カレーの砦の中では、必要不可欠な存在だった。


 レモンスカッシュもそうだが、味が濃い──。


 強いものどうしをぶつけ合うことで、見事に調和を取っているのだ。


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