ゴルゴちゃん13才、築地に行く。5
そんなことを思っていたゴルゴちゃんだが──。
「…………!」
ふと、自分にも尾行がついたのを感じ取った。
元長官は去っていったが、追いかけていったのは二人だけだ。
残った二人が、なんとゴルゴちゃんの動きを見張っているらしい。
接触者にも注意するのは、確かに追跡の基本だろう。
ただの女子中学生にしか見えないゴルゴちゃん相手にも気を抜かないのは、専門の機関できちんと教育を受けている証だった。
だが、ゴルゴちゃんにとっては面白くない。
「…………」
ゴルゴちゃんは移動を開始する。
こちらも尾行をまく必要があった。
だが元長官と同じ、場内市場に行くのはまずい。
ならば──向かうのはその隣に広がった、場外市場の方だった。
そこはやはり小さな商店が建ち並ぶ、場内以上にたくさんの人でごった返す場所である。
──ゴルゴちゃんは背後を人に取られるのは苦手だが、人混みは嫌ではない。
人が多ければ多いほど、ゴルゴちゃんもその中に紛れ込むことができる。
だから、ゴルゴちゃんはこの東京を拠点としているのだ。
この街には様々な人々が集まっている。
ゴルゴちゃんのような、裏社会の人間も。
それでいて東京に住む者たちは、他人とあまり接点を持とうとしない。
隣に誰が暮らしているのか、なんて興味を持たないのだ。
これほど「棲みやすい」街が、他にあるだろうか?
もっともゴルゴちゃん的に一番ポイントが高いのは、おいしいものがどこでも気軽に食べられる、というところだったが。
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