ゴルゴちゃん13才、冬のマクドナルドに行く。8


 これは、今までのグラコロでは感じたことのない、強烈な芳香だった。


 次いで舌にのるのは、タマゴの存在感である。



「…………!」



 グラタンコロッケの下に敷かれた、キャベツの千切りにかかっている、タマゴソースの風味だった。


 ──強い。


 ゴルゴちゃんは少したじろぐ。


 明らかに、従来のグラコロとは違う味の組み立て方だ。


 これでは主役である、グラタンコロッケの存在感を掻き消してしまうかもしれない。


 しかし、そこをバター香るバンズがどっしりと受け止めていた。


 さらに──。


 さくっ。


 とろっ。



「…………!!」



 ゴルゴちゃんは目を見張る。


 銃弾で貫かれたかのような衝撃、だった。


 さっくさくのグラタンコロッケも、そのクリームの風味を強くしていたのだ。


 ごろごろと口の中で踊るのは、たっぷり入れられたエビだ。


 いや、クリーム自体はきちんと、やさしいまろやかさを残している。


 そこにアクセントを付けるのは、どうやらコロッケに塗られているソースのせいらしい。


 香辛料がきいた、甘酸っぱさのあるソースが、グラタンコロッケの味を引き立てているのだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る