ゴルゴちゃん13才、冬のマクドナルドに行く。6



 客が少ないせいで、グラコロもポテトも作り置きではないようだ。


 ゴルゴちゃんはレジカウンターの端に立ち、できたてが用意されるのを待つ。


 その隙に、空席の確認にも余念がない。


 もちろん背後を取られない位置の、入り口近くがベストだが──。



「お待たせしました。超グラコロのセットのお客様~」



 トレイにミルクの細長いパックと、Lサイズのフライポテトにグラコロが載せられ、ゴルゴちゃんが呼ばれる。


 ガンケースを肩に担いで、左手だけで受け取って足を向けたのは、なんと一番奥の席だった。


 だがここもベストな位置取りだった。すぐ側には、店の非常口があるのだ。


 それにもう二つ、大事な設備が近くに用意されていた。


 一つは食事を終えたトレイを片付ける、専用のゴミ箱だ。


 その上には予備のペーパーナプキンが用意されており、重宝する。


 そしてあと一つは、手洗い場だった。


 紙に包まれたグラコロはともかく、フライポテトは絶対に手を汚す代物だ。


 最後はちゃんと手を洗い、塩や油を落としたい。


 うっかりどこかに痕跡を残すわけにはいかないからだ。



「…………」



 だが今はそんなことよりも、とにかくできたてのグラコロだった。


 ゴルゴちゃんは小さなテーブル席に着いた。


 ガンケースを傍らに置くと、今まで隠していた右手をポケットから出す。


 やはり、まだ震えていた。指が痺れる。


 それでもグラコロを包む紙に触れれば、ああ!



「…………!」



 やさしいぬくもりが手にも伝わり、ゴルゴちゃんの心臓がとくんと跳ねた。




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