ゴルゴちゃん13才、冬のマクドナルドに行く。1


 日本の冬は寒い。


 特に東京の冬は、雪が積もるわけでもないのに、染みるように寒かった。



「…………」



 しかしゴルゴちゃんは相変わらず、セーラー服にコートを羽織っただけの格好だ。


 いざというときのために、なるべく動きやすい服装をする──。


 そんなプロとしての基本を守っているのである。


 もちろん寒さで動きが鈍ってもいけないため、薄手だが防寒性能の高いコートを愛用していた。


 ついでに防弾性能も持つ、特注品だ。


 そんなゴルゴちゃんだが──手袋だけは、なるべくしないように決めていた。


 ゴルゴちゃんの秘密の仕事には、なによりも手が大事だった。


 だから素手が一番いい。


 指先の正確な動きが、生死を分けることもある。


 そんな極限の世界で、ゴルゴちゃんは依頼をこなしているのである。


 ──しかし、その反動が突然訪れるときがあった。



「…………!」



 左右の体幹バランスが狂わないように、ゴルゴちゃんは重いガンケースをこまめに持ち替えている。


 そのとき、違和感を覚えたのだ。


 利き手の右手がわずかに震えていた。


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