ゴルゴちゃん13才、サークルKに行く。12


 ことっ。


 そこにマスターから、ゴルゴちゃんの側にカップが一つ置かれた。


 洒落たバーにはあまり似つかわしくない、無地のマグカップだ。


 ほのかに湯気を立てるそれは、マスターが先ほど湧いた湯を注いで淹れた、日本茶だった。



「未成年に、酒は出せないからな」



 軽く笑ってマスターが言う。


 こちらが何を言わずとも、客の欲する飲み物を提供する。それは一流の証だった。


 もちろんゴルゴちゃんはありがたく受け取り、熱い日本茶を流し込んだ。


 ほうう。



「…………フ」



 つい、ゴルゴちゃんの口元がわずかに緩む。


 マスターの心遣いもまた、完璧だった。


 焼き芋には、日本茶が最高に合うのだ。



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