ゴルゴちゃん13才、サークルKに行く。11


 まるで夢を見ているかのようだった。


 本当に、さっきの焼き芋はここにあったのだろうか?


 だが強い甘みがまだ、口の中で存在感を主張していた。


 それに証拠がきちんと指先に残されている。


 芋の表面に噴き出していた、茶色く焦げた蜜がべったりと指にくっついていたのだ。



「…………」



 それをゴルゴちゃんは、コンビニ袋に残っていた紙おしぼりで拭い取る。


 紅はるかは、甘い芋だ。


 それもゴルゴちゃん的には、あの有名な安納芋よりも甘いだろう。


 けれどもねっとりとした繊維感は、安納芋の方が上のはずだ。


 紅はるかは甘いものの、もう少しサツマイモ本来のほくほく感が残っているものである。


 ところが今回の、売れ残りの一本は──あまりに規格外だった。


 今度からあえて売れ残りを探し求めたくなるほどの、逸品である。


 ──胃の中から、満足感と温かさが伝わってくる。


 一時の幸福感が、殺伐とした世界に身を置くゴルゴちゃんを潤していた。


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