ゴルゴちゃん13才、サークルKに行く。10


 時間帯的に、どうやらこの焼き芋は、売れ残っていた一本のようだ。


 とりあえず割った片方を紙袋の上に置いて、手にした半分の皮を剥いていく。


 だが中身がやわらかすぎて、どうしても皮に張り付いた。


 ああ、もったいない。


 ゴルゴちゃんは思わず、身のついた皮から口にする。



「…………!?」



 信じられない、ねっとりとした甘さが舌に直撃する──。


 それでいて、一緒に口に入った皮がおいしかった。


 こんなこと、さすがのゴルゴちゃんも初体験だ。


 芋の甘さをいつもは邪魔する皮も、極限まで熱が通ったせいで、まるで風味が変わっていた。


 うまい。むしろ芋の野趣を思い出させる、素晴らしい味のアクセントだ。


 こうなれば、ゴルゴちゃんは皮ごとかぶりつくしかない!


 ──ああ、まるで極上の薄皮を持つ、できたてのシュークリームを食べているようだ。


 まさに中身は黄金色のクリームだ。


 ほふほふっ。


 熱々で、甘い湯気が口から漏れた。


 あっという間に端っこまで食べてしまう。


 残りの半分も、同じだ。


 脳までしびれるうまさにやられて、気が付けばもう、ゴルゴちゃんの手の中から消えていた。


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