ゴルゴちゃん13才、サークルKに行く。9



「…………」



 紙袋越しにも焼き芋はまだ、十分に熱かった。


 ゴルゴちゃんは、まずは袋をきれいに破る。


 中から焼き芋が姿を現した。


 ふわああぁ。


 同時に、紙袋の中に閉じ込められていた、甘い香りが解き放たれる。


 皮の焦げた香ばしさもそこに混ざるのが、焼き芋のいいところだ。


 匂いだけでもう、ゴルゴちゃんの心が踊った。


 だが、まだだ。


 まだかぶりつくには早い。


 熱々の焼き芋を両手で掴むと、ゴルゴちゃんはまず、真ん中から二つに割った。


 ──そのときの感触といったら、もう!



「…………!」



 食べる前からはっきりと、手に伝わるおいしさがあった。


 やわらかい──!


 中まで完全に熱が通った、最高の状態だ。


 割った断面は、素晴らしいまでに金色である。


 長時間、熱い石の上で寝かされていた証だった。


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