ゴルゴちゃん13才、サークルKに行く。8



「……おや、珍しいな。仕事は?」



 マスターが手を止めて、ゴルゴちゃんに話しかける。


 ゴルゴちゃんはコンビニ袋を掲げて見せた。


 それだけで仕事上がりだということは伝わったようだ。



「聞くだけ野暮だったな」



 無駄な会話がないのは、さすがだ。マスターもこの道を極めたプロなのだ。


 だからゴルゴちゃんは勝手に、カウンターの端についた。


 ガンケースを隣に立てかけ、円椅子の上で半身になる。


 いざというときは、すぐに反応できるように、だ。


 もっともこの店でいざこざを起こすような輩は、素人もいいところだが。


 それでも常に気を抜かないのが、ゴルゴちゃんなのである。


 だが、とりあえずゆっくりできそうだ。


 ──マスターはもう話しかけてこない。


 客の邪魔をするのは二流のすることだからだ。


 ゴルゴちゃんはカウンターテーブルの上で、ようやく焼き芋の紙袋を出した。


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