ゴルゴちゃん13才、サークルKに行く。7


 ゴルゴちゃんがやってきたのは、知る人ぞ知る秘密のバーだった。


 入り口の鉄製の扉をノックすれば、中から覗き窓が開けられる。


 そこからぎょろりと睨んできたのは、強面の用心棒か。


 どこから見ても普通の女子中学生にしか見えないゴルゴちゃんに、初めはうさんくさそうな目を向ける。


 が、やがて誰かわかったようだ。



「あ、あんたは……!!」



 普通は合い言葉の一つも必要なはずだが、扉はあっさりと開け放たれた。



「入ってくれ、すまなかった……!」



「…………」



 ゴルゴちゃんはバーの中へと足を踏み入れる。


 そこはシックな雰囲気でまとめられた、広々としたバーだった。


 薄暗い明かりの下、わずかな客がボックス席にちらほらと見えた。


 全員、堅気の者ではない。


 訳ありの連中が、訳ありの会話をするときに使う──そんな場所だ。


 その奥にあるカウンターへと、ゴルゴちゃんは歩を進める。


 そこでは風格のある白髪のマスターが、落ち着いた仕草でグラスを磨いていた。

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