ゴルゴちゃん13才、サークルKに行く。5


 焼き芋は茶色い紙袋に入れられ、紙おしぼりとともにレジ袋へ投入された。


 その頃にはゴルゴちゃんは、コートのポケットに手を突っ込み、現金を出してくる。


 仕事柄、スイス銀行の「ブラックカード」を持っているゴルゴちゃんだが、そんなものを女子中学生が出すわけにはいかない。無駄に目立ってしまう。


 それにカードは、履歴から足が着く。


 だからゴルゴちゃんは基本的に、現金派だった。



「こちら、商品になります」



 お釣りを受け取る前に、焼き芋の入った袋が渡された。


 ああ、温かい!


 ゴルゴちゃんの胸がときめく。


 が、こういうときこそ冷静に、周囲に目をやる。


 店内にいたあのカップルが、カゴに商品を山盛り詰め込んで、レジに来ようとしていた。


 だからゴルゴちゃんは、背後を取られる前にレジから離れる。


 もらった釣り銭をポケットにねじ込んで、レシートの受け取りは仕草で断り、自動ドアへと真っ直ぐ向かった。



「ありがとうございましたー」



 店員のお決まりの文句を聞き終えるより早く、ゴルゴちゃんは店を出る──。

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