ゴルゴちゃん13才、コメダ珈琲店に行く。9


「…………!」



 ゴルゴちゃんは半分に切られた、焼きたての厚切りトーストを手にし、太い眉をわずかに動かした。


 ジャムだ。


 赤い、イチゴジャムだ!


 さすがに無料サービスなので、果肉がたっぷり入った贅沢なものではない。


 学校給食に出てくるような、懐かしいタイプのジャムだった。


 だが一口頬張れば、確かな甘味が感じられる。


 ──ゴルゴちゃんの欲していた糖分の弾倉マガジンが、ここにあった。


 ジャムの塗られたパンが口の中にあるうちに、金のアイスコーヒーを流し込めば──。



「…………!」



 ほわあああ。


 ゴルゴちゃんの口の中で、コーヒーの香りの手榴弾が炸裂していた。


 気まぐれに選んだジャムだったが、この選択は大正解だったのだ。


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