ゴルゴちゃん13才、コメダ珈琲店に行く。8


 残念ながらテーブルに置かれているのは、ホット用のスティックシュガーくらいである。


 こんなものをアイスコーヒーに混ぜたところで、砂糖が溶けることはない。


 ならばガムシロップをもらおうか?


 つい指先が、テーブルの端にある、店員を呼び出すコールボタンに伸びていく。



「…………」



 いいや。ゴルゴちゃんは諦める。


 この金のアイスコーヒーは、これでベストであるようにつくられた品なのだ。


 プロの仕事にケチを付けるのは、やってはならないことである。ルール違反だ。


 こんな日もある──。


 ゴルゴちゃんは腹を据えて、苦いアイスコーヒーを味わうことに決めた。


 そのとき。



「モーニングのBセット、イチゴジャムです」



 店員がトーストのセットを運んでくるのだった。


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