第2話 wind - wind 2
喉がかわく
リュックから 新しいペットボトルを出して
少し飲んで 頭からかける
”リンリンリーン リンリンリーン”
鳴る筈のない 電話が鳴る
私は前まできて 受話器を取り上げようとした時
音が消えた
哀しく泣くような電話の音に 思わず手をのばそうと
”リンリンリーン リン・・・”
無視して階段をおりる
玄関の扉が開けられない 何度おしても
両手が痛くなるまで
ドンドン ドンドン
叩いて 叩いて
そして 開いた時
その勢いで 私は転んで腕を擦りむいてしまった
叩いた手の痛さで 擦り傷の痛みなんて わからないわ
わかったのは 扉は意志を持って叩けば 開くことよ
”こっちにおいで”
”リンリンリーン”
起き上がった時 風に入れる緑の美しい葉の
サヤサヤ・・・軽い音がする
折りたたんでリュックに入れておいた帽子を出して
深めにかぶる
サヤサヤ カサカサ
サヤサヤ カサカサ・・・奏でるみたいだわ
汗が出始めたから ブラウスを脱ぎ Tシャツになる
サヤサヤ カサカサ 音が小さくなっていく
まだ少し残ってるはずの 雨の雫も見たかったけれど
振り向かないわ
どこかで きっと
別の雫も音も感じることでしょう
光が眩しくて 一瞬顔を空からそむけたけれど
下を向かず 真っ直ぐに・・・来た道を
wind - wind 青砥 瞳 @teresita
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