第13話 3度目の転校前日(日曜日)

 ガタンゴトンガタンゴトン。

 ガタンゴトンガタンゴトン。

 ガタンゴトンガタンゴトン。


「……はっ!」


 次の瞬間、ヒアリは電車の中にいた。そう、ここは転校前日にあの団地と工場の町へ向かっている最中だ。


 ヒアリは自分でも驚くぐらい冷静に状況を確認し始める。

 何があった? 確か地震があった。そう思った途端、ここにいる。ポケットの中にあるスマートフォンの画面を開く。転校前日の日曜日の日付を指している。


 そう、また一週間戻ったのだ。


「……はぁ」


 ヒアリは電車の座席の上で脱力してしまう。 

 これで確定した。相変わらず理由は不明だが、転校して次の月曜日を迎えられない。すぐにこの時間に戻ってきてしまう。


 一体何が起きているんだろう。


 ほどなくして電車は駅にたどり着いたため、ヒアリは力なく荷物を持って降りる。

 そのままフラフラと改札を出た時に、隣をすれ違って改札を通っていた存在に気がついた。


 すぐさま振り返ると、あの同い年には見えないほど幼いツキエの姿がある。


「まっ――」


 ヒアリは思わず呼びかけようとしたが、電車の発車合図の音に遮られてしまい、ツキエには届かず、そのまま電車で走り去っていってしまった。

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