第10話 転校前日……あれ?(日曜日)

 ガタンゴトンガタンゴトン。

 ガタンゴトンガタンゴトン。


 電車の音が車内に響き渡る。ヒアリは電車の窓から外を見ていて――


「え」


 思わず間の抜けた声を上げてしまった。なぜならさっきまでベッドで眠っていたはずだったのに、なぜか今は電車に乗っている。


「はえ? 夢?」


 まず思ったのはこれが夢じゃないかということだ。ということでまずほっぺをつねってみる。その後、電車内を見回すが見えているものは変わっていない。


 しばらくして、電車がトンネルの中に入りゴーという耳障りな音に変わった。


「ど、どういうこと……?」


 ヒアリは自分が夢遊病とかにかかっているんじゃないのかと思った。眠っている内にあるきまわりいつの間にか電車に乗って何処かに向かってしまっているのかもしれない。


 そうなるとまずい。今日が学校なのに電車に乗って何処かに行こうとしているのなら完全に遅刻だ。


 すぐさまポケットに入っていたスマートフォンを取り出して時刻を確認する。

 が、ディスプレイを見て唖然とした。


「どういうことなの……?」


 その日時はヒアリがこの町にやってきた転校前日を指していた。ついさっきまで転校して二度目の月曜日に期待して寝ていたはずなのに。


 そして、寝る直前に何か――衝撃的なことがあったような気がするのだが、夢と現実が交差していたような状態だったのでどうしてもはっきりと思い出せない。


 チャッチャラチャンチャン♪

 呆然としたり考え込んでいる間に電車が目的の駅について、発車の合図を鳴らしていることに気がつく。


「ああっ、降ります! 降りまーす!」


 ヒアリは荷物を抱えて慌てて電車から飛び降りた。


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