七十振目 映りは日本刀の華で謎
「写り」や「移り」とも書かれますが、通常は「映り」で表されるのが一般的。
しかしこの「映り」は分からない、というのが正直なところ。
日本刀の場合は様々な用語の定義が明確になっておりません。たとえば地沸や、鍛え肌(板目や杢目)でさえも、それが何を指すのか人によって異なってきます。
もちろん「映り」の用語も同様です。
白く浮き上がるといった説明もあれば、黒い影のようなものといった説明もあれば、または白い映りの中に黒い
一番酷い説明としては「白気映り」と言われるものでしょうか。
1)地肌の疲れから生じるもの
2)映りと同じもの
3)映りの中で白くみえるもの
4)美濃伝系に現れる映り
といった感じで、白気映りが何なのか明確に説明できる人は存在しません。そうしながら、白け映りは良くないものとして扱われています。
以上のように「映り」は良く分からないという前段を踏まえた上で、映りという用語には以下のものがあります(数字は説明が異なるもの)。
丁子映り:丁子の刃文に沿って、ほぼ忠実に現れた場合
沸映り:沸出来の刃文に沿って現れたもので、来系や相州系の上作に現れる
直映り:直ぐの刃文に沿って真っ直ぐ現れた場合
乱れ映り:乱れ刃の刃文と同様に映りも乱れた場合
棒映り:乱れ刃の刃文に対し映りが真っ直ぐな場合
白気映り:地肌の疲れから生じる映り
疲れ映り:研ぎ減った事で現れるもの
これら以外にも地映りや段映りなどもありますが、何かさえ分からない。
備前で現す映りの移り変わり。
古備前では乱れ映りが現れ丁子映りが現れますが、やや不明瞭で現れないものもある。そして次の時代になると備前系全般に現れ、鎌倉期は明瞭で華やかとなり福岡一文字で丁子映り、吉岡一文字で乱れ映り、長船系で丁子映りと乱れ映りとなる。これが応永頃(室町初期)になると棒映りが大半になり、以降は全て棒映りとなって末備前(室町中期以降)になると棒映りすら殆ど現れなくなり消えている。
もちろん他の地域や流派でも映りは現れています。
その中でも来系は「来映り」or「沸映り」、相州系は「沸映り」、美濃系は「白気映り」などと呼ばれます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます