十六振目 銘は命であり迷である
銘とは刀鍛冶が入れる名前です。
太刀は刃を下に向け、刀は刃を上に向け腰に差します。太刀銘、刀銘とも身に付けた時の外側に銘を切るのがお約束です。ですが、一部例外有り。その辺りは、何か事情があったのか、へそ曲がりがいたのかは不明。
また混乱しやすい事に、同じ銘の人が何人もいる。
吉光と聞いて驚くと、粟田口でなくて土佐だったり。国光という銘でも来国光や宇多国光、新藤五国光などなど多数いたりします。
なお、信長という銘もありますが、もちろん織田信長ではないです。
鎌倉時代までは目釘穴の上に棟寄りに切ります。
鎌倉末期から銘が長くなるため、この場合はハバキ下から切り始めます。短刀は目釘孔の下、中央部に切ります。
南北朝期からは目釘穴の下の中央に切ることが多いです。
室町以降は目釘穴の下の棟寄りに切ることが多く、室町後期の二字銘は目釘穴の右下から銘を入れることが多いです。
時代が新しい物は目釘穴の右上から長々と入れています。
刀鍛冶毎に銘位置はほぼ決まっており、銘の字体も特長が出やすい。ただし、応永頃の備前などのように専門の銘切り師がいたりします。このような場合は、たとえば「〇〇監修」的な感じで、出来の良い刀に著名工の銘が入れられたりしたようです。
また代銘など、親の代わりに刀を打った子が親の銘を入れる場合などあります。
また正宗や大和系などのように、身分の高い人や神仏に献上する作に銘を入れないといった風習もあります。
銘の一部だけが消えているのを良く見かけますが、何故だろうと疑問です。
しかも銘として一番肝心な部分が多い。たとえば「〇光」となっていたり、「備前長船〇光」とまあ、なぜそこに穴を開けた! と言いたくなる。または穴を開けかけ途中で止めたような痕跡があったり……。どうしてでしょうか。前後は普通に残って、なぜか真ん中の大事なひと文字だけ擦れて消えるなんて不思議。
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