十五振目 刀を二分する古刀新刀

 日本刀は大きく古刀と新刀に分けられます。

 これは万治四年(1661年)に竹屋理安により出版された『古今銘尽(ここんめいじん)』という本に、慶長八年(1603年)までの刀が収録されたことから、慶長以前の刀を古刀(ことう)と呼び、それ以降を新刀(しんとう)と呼ぶようになりました。

 この慶長を新古境と呼びます。

 ただし、これは一つの指標。よく言われるのが、「昭和六十三年と平成元年に違いがないように、慶長前後で何も変わらない」です。余談ながら、もうすぐ「平成三十一年と〇〇元年に違いがないように――」と言われるようになるでしょうか。


 古今銘尽(全七冊)について

 刀鍛冶の銘と系譜、刃文や茎の図示されています。貞享四年(1716)には古今銘尽大全(全八冊)として追記再出版され、さらに享保元年(1718)には古今銘尽として追記再々出版され、さらにさらに古刀銘尽大全(全九冊)として出版された刀剣関係の大ベストセラーです。読んだ事ないけど。


 日本刀の質としては慶長前後五十年ぐらいは差がない感じ。しかしながら古刀と新刀という大枠で言うと、明らかに出来が異なるのは確かです。つまり時代が新しくなればなるほど、日本刀全体の質は悪くなっていく。

 それは何故かと言えば……諸説あります。

 ただ思うのは、物流が改善されるほど日本刀の質が低下しているような。特に室町時代末になって物流が大きく改善されだすと、急速に日本刀の質が変化していますから。


古刀

上古刀(じょうことう、かみことう):平安時代中期頃まで

 鎌倉初期まで:元幅と先幅の差が大きく、小鋒、ハバキ元で反り先は無反り

 鎌倉中期:元幅と先幅の差が少なく、鋒が短い、刃肉豊かな蛤刃、ゆるい腰反り

 鎌倉末期:元幅と先幅の差が大きく、やや鋒が大きい、全体に反る

 南北朝期:身幅が広く幅差ほぼなく、豪壮な大鋒、重ね薄い

中古刀(なかことう)

 室町時代:刃を上にした刀が登場。全体的に反る。

末古刀(すえことう)

 室町末期の慶長まで:入念作もあるが、粗製濫造も多く古刀全体の九割を占める

新刀

 慶長新刀:南北朝期の大磨上無銘を写した、身幅広く大鋒

 寛文新刀:元幅に対し先幅が狭く、反りが浅いか無反り

 元禄新刀:元幅に対し先幅が適度に狭く、中鋒

 新々刀:幕末の世相を反映し、身幅広めで鋒が延び豪壮

 現代刀:現代に製造される。形状は種々様々

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