四振目 拵えは場所を取る

 外出時など帯刀している状態のものを言います。

 刀剣における、もう一つの華――なのですが、実際には刀身は白鞘にて保存されるため、刀だけが好きな人にとっては出番がありません。

 金襴緞子な西陣織の刀袋に収められるため、刀箪笥の中で余計に場所を取ってしまう事に……。

 それはそれとして、保管には急激な温度変化を避け、湿度五十%程度で保管します。漆や金具を触る場合は素手ではなく、柔らかい布などを使用し扱いましょう。けっこう、指紋などが残りますので。


 以前の白鞘の際の繰り返しになりますが、拵えである鞘の表面は漆塗りです。このため刀身に塗った油が鞘に染みると、漆塗りにひび割れが生じる場合があります。ですから、油を塗らず収めるようにしましょう。

 最近は漆塗り自体に接する機会が少ないため、ややもするとプラスチック製の鞘に見えてしまう人もいます。見分け方は……すいません、とりあえず鞘の中を除く程度の知識しかありません。


 鞘には家紋が金蒔絵で施されたものがあります。古い物など擦れて剥げている事が多いです。ただし補修には紋を一つ入れるだけで十万円近い費用を要し、さらには必ずしも上手く直るとは限りません。だから禿げ…剥げぬよう、鞘袋から出すときにもこすったりしないよう注意が必要です。

 なお、家紋だけで「○○家」伝来品と判断しないように注意しましょう。基本的に鞘と刀身は別物と考えた方が良いです。


 拵えに附属する小柄などは別に保管しておいた方がベターです。

 古い小柄は長期間、鞘の小室に収められた状態のため、中で錆びている場合もあります。また、抜け落ちぬよう一部を湾曲させ小室に押し込んである場合もあります。ですから無理に引っ張りださないようにしましょう。

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