第4話


『ヘーメルナ大陸東部自由都市ヘーリラト・連合警備隊冒険者管理局支部:

 待機所』



 飛龍操縦士管理職員待機所では、ポーカーゲームや軽食を食べている職員の姿が

 あった。

 飛龍操縦士管理職員待機所内は広く、また快適な温度に設定されていた。

 この待機所内にいる冒険者管理職員も

 人間種族(ヘーメルナ大陸内の各国地域民族が含まれている)の姿があった。

 エルフ、ダークエルフ、シャドーエルフを筆頭に ホビット、フェアリー、フェルパー、ラウルフ、リザードマン、ムーク、フェアリー、そして混血種族が

 事務、整備員、警備員、飛龍操縦士を全て含めて約9500人ほど存在していた。


 飛龍操縦士管理職員らは、左肩に飛龍の画が描かれた保温性、実用性、耐久性、耐魔法性に重きが置かれている特殊飛行服を着込んで待機していた。

 大昔のから見れば、間違いなく

飛龍操縦士管理職員達はこう称される事だろう――――

』と


 待機所の天井付近に設置されているスピーカーから突然声が響く。

『警戒待機部隊に告げる! 警戒待機部隊に告げる! 

 積極護衛緊急発進要請 ありっ!!  積極護衛緊急発進要請あり!!

 担当要員は全員出頭されたしっ!!』


 そして信じられないほど喧しいクラクションが基地内に鳴り響くのほぼ

 同時に、担当要員の管理職員は飛行服のジッパーを上げ、全力疾走で警戒待機飛龍格納庫に向けて即座に出でいく。


 担当要員の先頭を突っ走しているのは、小柄な体格のフェルパーだった。

 フェルパー操縦士は、狭い通用口の右手の壁に存在している2つの大きな

 レバーを掴む。

「格納庫扉開放!!」

 と大声で叫び、フェルパーの操縦士は何の躊躇もなくそのレバーを引き下ろした

 それにより巨大な釣り合い重なりが下り、格納庫の正面と裏手のドアが さっと

 開く。

 フェルパー操縦士は、格納庫開放レバーの近くに置いてある を手首に装着した。

 そして手袋をはめ、袖を下ろし、ジッパーをきちんと閉め直し襟を立てながら

 小走りしていく。



 格納庫内には、

 そのは、森や丘、沼地、火山などに棲息しており、全身を覆う鱗は鋼鉄よりも固いと言われ、知性は非常に高く狡猾で、体中の部位が強い魔力を

 持つ。

 の中には、自らの意思で高度魔術も唱え、口からは種類にもよるが

 炎を初めとし、吹雪や電撃や毒ガス、音波や光線など吐く。

 から、現在までこの世界の冒険者を震え上がらせる

 生物――――『飛龍』だ。



 格納庫にいる飛龍は火山などに棲息する赤い鱗を身に纏っていた。

 大きさは中型飛龍で、その数は五匹。

 元々から鋼鉄よりも固い鱗を身に纏っている飛龍に、装備具を身に付けさせている。

 来なら野生的で何処か気高き雰囲気を醸し出しているのだが、この場にいる飛龍にはその様なはない。

 変わりに、殺伐として禍々しいものを感じ取る事が出来る。

 基地内に鳴り響くクラクションに反応してか、5匹の飛龍はその場の空気を震動させるような、静かな唸り声を響かせた。



 5匹の飛龍の付近には、ヘルメットを被り色付きの作業服を着込んだ各種族出身管理職員が緊急整備確認を行うため忙しく動き回っていた。

 飛龍の地獄の底から聴こえてきそうな唸り声にも立ち竦む様子も無い。

 茶色の作業服を着込んだは、飛龍の体調検査を

 行うためか、右手にを使用している。

 また、紫色の作業服を着込んだは飛龍に、

『特殊飲料水』を適度に与えていた。



 緑色の作業服を着込んだは、飛龍が身に纏っている防具と操縦席に設置されて

 いる、飛龍操縦士用小型特殊魔道通信機器の作動確認を真剣な表情を浮かべながら作業確認を行っていた。

 その作業の中を飛龍操縦士達が各飛龍へと向かい、五段の搭乗梯子を登って

 背中に設置されている座席へと乗ってゆく。




 その飛龍の群れの中に、一つだけ指揮官機らしき印を付けた飛龍がいた。

 、また飛龍が装着させられているだった。

 2人の操縦士が乗り込み、そのうち1人がヘルメットに仕込まれている無線機マイクのスイッチを入れた。

 種族と体型から見て、

 が、恐らくこの部隊の隊長なのだろう。





「地上管制、こちら『サイレントナイト』  離陸準備離陸準備完了。どうぞ」

 が連絡する。

『 『サイレントナイト』 こちら地上管制・・・風は平穏なり・・・』

 少し雑音混じりの返答があった。

「地上管制、我々の護衛対象並び移動空域エリアの指示を請う。どうぞ」

 が連絡する。

『部隊の護衛対象は、管理番号xxxの『最高危険区域』にて、

 を行っている『デーメト』ティームの援護。

 現、当ティームは魔物の群れと交戦中・・・・何か質問は・・・・どうぞ』

 雑音混じりにながら返答が返ってくる。



「了解した。『サイレントナイト』飛行小隊、各飛龍の体調を確認」

 ダークエルフの隊長操縦士は第2無線機のマイクのスイッチを入れて告げる。

『2番機『グウィディーマ』、異常なし』

 中年の男性の声が応えた。

『3番機『ラクシュベーラ』、異常なし』

 声変わりをする前の少年の様な声が応えた。

『4番機『オルペトゥヌス』、異常なし』

 妖艶な女性の声が応えた。

『5番機『カーリウス』、異常なし』

 濁声の男性の声が応えた。



全機の返答を聞き終えると、は第2無線機の

マイクに向けて話す。

「送信を聞いた。我々はこれより現場へ急行する。以上」

は、飛龍の手綱を軽く引っ張る。

 すると、飛龍が空気を震わす様に大きく吼えた。

 飛び立つ準備に入ると、飛龍の雄叫びの吠え声を見計らい、黄色ジャージを

着込んだが合図の旗を振った。

すると、同時に隊長機の飛龍は翼をはためかせ大空に向けて飛び立ち、それを順番に残りの飛龍が飛び立っていく。



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