③ テレビから広まる秘密



 「ほらよ」

わたしの机の前で、西尾にしおが、そう言い取り出したのは、1枚のA4サイズの紙。

「これ?きのう言ってたのって」

西尾は、きのう、イイお知らせがあると言っていたのだが聞こうとしたら、拒否きょひされた。だったら、言わなくていいのに。

「そ。おれらにぴったりじゃねぇかな」

紙を見ると、なにやら文字や四角しかくが書いてあった。


      ~不思議発掘ふしぎはっくつたんけんたい!~


 当番組は、世界各国の不思議なことを調査する番組です。 番組では、視聴者の皆様から送られてきた不思議も、調査しております。特に、UFO・UMA・怪奇現象などを募集ぼしゅうしております!写真や動画でもかまいません。

どしどしお寄せください!


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          「           」


「なにこれ」

わたしの一言で、西尾にしおの口は、開いたままふさがらなくなった。

「っええ~~!あんた、『不思議発掘たんけんたい!』知らんの?」

なんか、すごいバカにされてる気がする。同時に、イライラしてきた。

「それは、知ってる。この紙はなんだって言ってるの!」バン!

わたしは、机に紙をたたきつける。いかん。西尾相手に、いきどおっても、しかたないことを忘れていた。どっちにしても、心の中では、シメ上げるが。

「あぁこれ?サイトで、コピーしてきただけ」

だから、それはいてないっつの。

「おれらの。ていうか、さっきから、文句があるなら言えよ」

おれらの超能力のこと、送ろうと思って。

超能力のこと、送ろうと思って。

送ろうと思って。

頭の中で、西尾の言葉がエコーする。しまった。西尾は、まだ、あきらめていなかった。わたしが、西尾に放課後、呼び出されてから一ヶ月。その間、西尾は超能力に関することは、何も言ってこなかった。わたしは、そのほうがいいから安心していたけれど、西尾はどう思っていたんだろう。きっと、一ヶ月の間、いろいろなところをしらべてまわったんだと思う。ーだがしかぁし!これくらいのことで、わたしが折れると思うか!わたしは、断固だんこ拒否するぞ。

「まあまあ。まずは、一回、送ってみよう!」

まずは?一回送ったら、終わりじゃない。というか、こうゆうのって、何回も送るものなの?

「いちいち、ツッコミが長いんだよ。じゃあ、今日家帰ったら、すぐおれん集合な。作戦会議するから」

西尾が、平然とそう言った。ちょっと待って。わたし、西尾のうち、知らないんだけど。

「え?そうだっけ。じゃあ、いっしょに帰るか」

「やだ」

即答そくとう。考えるまえに声がでた。こんなの、初めて!西尾が数秒、思案しあんする。

「んー。地図書くか」

それならよろしい。西尾は、どこからか白紙をもってきて、せっせとペンを走らせる。思ったより、きれいに描けている。なんのきなしに、たずねてみた。

「西尾の家、どれ?」

西尾は、〇△スーパーと描いてある四角の、となりのとなりの四角を指差した。その四角のなかには、捧人間ぼうにんげんが描かれており、ふきだし付きで「ひゃっはー!!」と雄叫おたけびを上げている。うん、これなら分かりやすい。ってあんぽんたーん!

「、、、この捧人間は、地図に必要なものなのかな?」

わたしは、西尾にやさしくきき返す。

「この地図は、西尾の、落書き帳じゃないんだよ?」

ここで怒ったら、おしまいだ。何より、わたしはシンプルが好きなんだ。シンプル・イズ・ザ・ベストだ!

「ほい」

西尾から、地図がわたしに手渡される。地図を見ると、あの捧人間はいつのまにか、消しゴムでけされていた。

「西尾がけしたの?」

すると、返って来たのは意外なこたえ。

「いんや?委員長だよ」

わたしのとなりに、委員長がいつのまにか立っていた。性格に似合わず、めずらしくにこにこしている。ほんと謎だなあ、委員長って。







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