人外物語

第44話

～a boy thinks～

「……う～ん……」

「？　どうしたの、奏太？」

「……いえ、ちょっと学のことで……」

「もしかして、可奈江に嫉妬とか？」

「そっ、そんなんじゃないっすよ！　……ただ、何かスカッとしないというか。」

「決闘が出来なかったから？」

「……何でそんなこと知ってるんです？」

「あぁ、ごめんごめん。盗聴してた」

「盗聴！？」

「まぁそれはおいといて。そりゃあ東君のあの態度はハッキリ言って不快というか不可解だもんね。やっぱり気になる？」

「(不快？)……えぇ、まぁ。あいつ、『大丈夫だ』って言ってたんすよね。あの時は雰囲気に呑まれて素直に信じちゃいましたけど……本当にそうなのかなって。だってあいつ、結局は他人に依存しているだけじゃないですか」

「依存？」

「あいつが自分から行動する所を見たことありますか？　何か人の言ったことに従って生きているというか、そもそも俺からしたら、神保さんに対する想いも依存でしかないような気がするというか……？」

「え、でもさっき可奈江の所まで走っていったのは東君の意志じゃないの？」

「だから悩んでいるんですよ。あれはあいつが本当に『大丈夫』になった故の行動なのか、それとも未だに神保さんにただ依存しているだけなのか。正直良く分からなくて、判断がつかないんっすよ」

「ふ～ん、奏太も大変だねぇ～」

「……完全に部外者の反応ですね。あとそろそろ膝の上からどいてくれません？　いや、嬉しいんですけどさすがにこの状況を誰かに見られるというのは……」

「む？　ここは膝の上じゃなくて太ももだよ、大腿！」

「……話聞いてます？」

「大腿！」

「いえ、だから……」

「大好き！」

「ええい頼むから俺の理性があるうちに早く離れてくれぇぇえええ！！」