第42話

〈風見奏太〉

 俺と学が部室に戻り、どうやって学の親御さんを説得しようかと頭をひねっていた所、

「すとぉーっぷ!!」

ガラガラッと勢いよく部室のドアが開かれ、瑠衣が飛び込んできた。

 その手には一枚の紙がはたはたと、はためいている。

「大丈夫ッ、東君が退部する必要なんてないよ!」

「「……はい?」」

 俺と学が揃って首を傾げる。その握られた紙と何か関係があるのだろうか。

「実はねぇ、……」

 瑠衣は、『文芸部』が『同好会』という組織になることについて説明をする。それにより、学は部活動に所属していることにはならず、結果的に学の退部は免れるということらしい。

「……そんなまさか……!」

 当の学はいきなりの出来事に実感が沸いていないようで、口元を押さえて何やらブツブツと呟いていた。だが数秒の後、段々と表情が喜びに変わっていく。

「やったじゃねぇか、オイ!」

「お……おぉ! そうだよ、もうテストのことで心配する必要がねぇ!!」

 遠くから観測する、爆発の煙と音との時間差。ゆっくりと熱くなる胸を待たずに、肺が叫べと空気を一杯に吸い込む。

「よっしゃぁあああーー!!」

「うおぉぉおおああーー!!」

「いえーーいーー!!」

 本来ならば決して喜ぶことの出来ない『同好会』へのランクダウン。それなのに、それなのに、俺たちは全力でそれを受け入れた。

 また四人で……活動できるッ!!

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