第31話

〈東学〉

「……愛しのドリームへようこそ。『いつでも貴方の隣に』でお馴染み、二重人格さんだぜぇ~……」

ん? よぉ、何だか元気ないぞ。どうした?

「いやな? お前の悩みがごっそり抜けちまった所為で、そろそろ俺も消えちまいそうなんだよ。明日にはもういねぇだろうから、言いたいこと聞きたいこと諸々あるならどうぞ」

……寂しくなるな、ここ最近は世話になったし。また俺が悩んだりしたら、力が戻って復活とかすんの?

「さぁな。そん時はまた別の人格で新しい奴が来るんじゃねぇの? まぁ悩まないのが一番なんだがな」

そりゃそうだ。

「インフルエンザん時とか気絶した時は悪かったな。夢ってのは基本、浅い眠りでしか現れないものだから、そういう肝心な時には手助けできねぇんだ」

いいよ、夢で軽く話し合えるぐらいの関係性がちょうどいい。楽しかったぜ。

「幸いだ。……これからは普通の『人間』になるんだっけか? 頑張れよ、俺」

あぁ、頑張るさ。

「んじゃ、お別れだ。もう二度と俺なんか作るなよ?」

……まあ保証しかねるが、頑張ってみるよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る