第9話
~a girl talks with a girl~
「……というわけで、風見君に代役を頼んだの。何度も言うけど、別に可奈江を嫌いになったりしたわけじゃないの。だから……ね? 少しの間だけだから可奈江も我慢して!」
「ぅ……ホントニ……?」
「ホントのホント! 私が一番好きなのはいつだって可奈江だよ?」
「……分かった……我慢する……ちょっと待ってて」
「? いいけど……?」
……。
「お待たせ。ごめんなさい、さっきは取り乱してしまって。もう大丈夫だから、こっちのことは心配しないで」
「変わり身速っ! さっきまで幼稚園児並みの駄々をこねてたのに!」
「そ、それは触れないで頂戴。……私にとっては、それだけあなたは大切な存在なのよ」
「あははっ、可奈江も面白いこと言うね。そういうのは彼氏でも見つけてからいいなよ」
「彼氏よりも、私はあなたが欲しいの、瑠衣」
「ん? どうゆう意味?」
「……いえ、何でもないわ。ところで」
「なぁに?」
「私も、ストーカーなどのああいった輩の心理は良く分からないのだけれども……そういった交際アピールは犯人を余計に刺激するものではなくて? 下手したら武力行使にでる可能性だってあるわ。今更だけれど、あまり賛成できた案ではないわね」
「……うん。だからこそだよ」
「え?」
「可奈江は知らないかもだけど、風見君、中学時代は空手やってたらしいんだ。それもかなりの実績あり。直接言ってはいないけど、仮の恋人兼ボディーガードって役割のつもり」
「へぇ、あの成績最底辺そうな顔でよくもまぁ……」
「む? それは風見君に失礼だよ、可奈江。それとね、もうそろそろで全額返金できそうだし、一ヶ月も続かないんじゃないかな、仮の交際は」
「それは、お父さんの借金のことかしら?」
「うん。趣味が生活を助けてくれるなんておかしな話なんだけどね。ギリギリ何とかなりそう」
「そう、それは良かったわ。じゃあ、連絡を取れるようにしておくから、何かあったら私のことも頼って頂戴。……といって、実際にスムーズに連絡の取れたキャラクターなんて私は知らないけれどね」
「あははっ、全くだよ。きっとその人たちは、人に頼ることを知らないんだね。時には甘えてもいいんだってことを」
「? やけに断言するわね、やっぱり風見君と何かあったの?」
「ふぇ!? ぅあ、なな何でもないって! お、おおおおやすみ!」
「え? あ、ちょ……瑠衣!?」
「――……」
「……瑠衣ったら、前は途中で電話を切るなんて真似絶対にしなかったのに……」
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