廃星より弾を込めて 10

 それから半年はまさに怒涛の日々だった。封印された核兵器の設計図を有識者と共に睨み、読み取り、機材やら装置やらの手配に追われ、次いで爆弾を飛ばすロケットをほぼ同時進行で造り……といったものを何の予備知識もない俺が指揮するのだ。人生で一番気苦労の絶えない仕事だったと言えるだろう。その後に誇る未来があるのならばの話だが。

 ぶっちゃければ、核兵器なんぞ誰でも造れるのだ。難しいのはその現場にいる人間が被曝しないように造ることであって、爆弾の作成自体は単純なものなのである。

 とは言ってもやはり忙しいものは忙しい。家に帰らず工場で夜を明かすことは何度もあった。一応だがアンリは俺のSPということになっているので、気付けば彼女もここの常連になっている。まあもっとも仕事なんて何も無い身なので、よく作業員たちに食料や水の配給をしたりしながら工場のあちこちを見学したりしているが。アンリにとってここは、見聞を広めるという点で非常に魅力的なのかもしれない。

「ん? エディさん、それ何ですか?」

「肉をパンで挟んだものだ。お前も食うか?」

「はい。……あ、おいしい。食べたことのないお肉です」

「だろうな。俺もお前に食わせた覚えはない」

「何のお肉なんですか?」

「ミミズだ」

「どわっひゃあああ!」

 あの後、数日間は無視をされた覚えがある。ミミズは中流階級の人間の間では普通に食されている、極めてポピュラーな食材なのだ。

 決して俺は悪くない……はずだ。

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