仕事をクビになり、家族や友人とも上手くいかず、30歳にして最悪なニートライフを送っていた時生翔。ある日彼は夜中に訪れた神社で、突然発生した謎の光に巻き込まれ意識を失ってしまう。
そして目を覚ますと、なんとそこは16年前の1999年だった。
それだけでも驚きなのに、なぜか翔は少女の姿になっており、さらに自宅に変えれば中学生時代の自分がいた! どうにかこの時代の翔と家族に事情を説明して、「翔子」としてこの時代で暮らすことに。
未来から来た翔は見かけは少女だけど、その中身は30歳のメンタルを持つふてぶてしいおっさん。
一方当時の翔は、自分の将来や人間関係に悩みを募らせるナイーブな中学生。
同一人物でありながら、全く正反対な性格の二人のやり取りが読んでいて非常に楽しく、しかも紆余曲折を経てこの時代の翔が、翔子に恋をしてしまうのだからますます面白い。
奇を衒った設定ばかり目立ってしまいますが、自分の失敗を翔に繰り返させないよう翔子が悪戦苦闘したり、過去にできなかった自分の心情をさらけ出して周囲にぶつかっていく姿はまさに王道の青春もの。
タイムスリップ、トランスセクシャル、そしてティーンエイジ・サマーと三つのTSが重なりあう、青春SF好きは要チェックな一作です。
(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=柿崎 憲)