おっさん己の異常を理解する

「やれやれ。やっと実感が沸いて来やがった。」


身震いを一つして、自分のステータスで気になる点を洗い出す。


「この称号ってぇのは何なんだ?こいつがジョブのレベルを取っ払ってるらしいんだがなぁ。そもそもカンストした記憶もございませ……ん?こいつはタッチパネルかい。それなら多分、これで見れる筈っと。」


ポチっとな。

今ではもう知っている者が少なくない世代のアニメの声真似をしながら、ジャンは気になった称号の欄に触れる。


[称号とは]

神が自らに祝福を与えし時に付く、まさに称号。主にその者の行動に合った称号が送られる。神の気紛れ故に、不名誉な称号が付けられる事も。


「なんか初っぱなから傍迷惑そうなやつが来やがった。………あ、あれか。あの中二病がどうたらってやつか。そう考えると無性に背中が痒くなってきたな。まぁいいや、次次っと。」


[異界より生まれし者]

神の恩恵で、異界から生まれた存在。スキル〔異世界翻訳〕を与えられる。

[死を経験せし者]

前世の記憶を持ち、死んだ事を受け入れた者。精神に大きな+補正が掛かる。

[臨界突破者]

この世界における、ヒトの臨界点を突破せし者。職業のレベルを取り払う。


「…………………。いやこれは駄目だろう。」


何が駄目って称号の全てが駄目だけど、最後の[臨界突破者]ってのが一番駄目なやつだ。


「少なくともこれで、俺がこの世界における人外が決定した訳だ。……全くもって嬉しくないな。」


いや待てよ?この森に落とされた状況で気付いて良かったかも知れん。自分の体をよく知らないで人里に行ったら、下手な魔物(狂暴)よりもヤバい事になりそうだ。最悪俺が魔物認定されて討伐されるやも知れん。多分負けないだろうが。


「仕方ねぇ、特訓するか。熱血だの青春だのからは遠く離れたと思ってたんだがねぇ。」


取り敢えず、特訓が終わったら身体に優しいタバコでも作ろう。ついでに酒も。

そう考えたら、ちょっとテンションが上がった。……………我ながら単純な思考だと思うよ、まったく。

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