第9話 秘密のリフォームをしよう


 ラジオとかで毎回違う自己紹介するDJって、素直に凄いと思う。


 ようこそソウルダッシュの世界へ、神条カミジョウ 神鵺シンヤだ。


 そろそろ前置きと自己紹介がしんどくなってきたので、今度から割愛する事にした。





「リフォームだ」

「「リフォーム?」」


 マンションの自室に帰ってきた俺は、色々とやる事やった後にリフォームを宣言した。


 と言うのも、この二人を一つ所に棲まわせた方が色々と面倒が消えると踏んだのだ。


 まず、悪魔は自宅を持たずに給金で宿暮らしが常らしい。そしてすぐ金が尽きて空暮らし。自分と契約する狩猟者プレデターは検討違いな奴が多く、下位世界であってもすぐ死んでしまうので、報酬を与えてからそれにありつこうとするやり方も取れなかったようだ。そりゃ空で寝るハメにもなるわ。


 そしてレミィ。コイツは論外。妊婦に棲む場所探せとも言えんし、別荘を構えたとしてもあと2年は学校に近いこの部屋を離れたくない。


 かと言っておめーらだけで暮らせと言うのも不憫過ぎる。


 と言うわけで。


「調べてみたらO市の人里離れた場所にやしきが売られていたんで買う事にした。オーナーには予定を伝えて保留にしてもらってる。ソイツとこことをゲートで繋げて超空間リフォームと言う事にして、住み込みで家政婦メイドを数人雇うんだ」

「賃貸マンションで事足りるのではないです?」

「テメーらに人様から借りた物件で棲めとか怖くて言えんわ。何やらかすか分かったもんじゃない」


 俺のパソコン勝手に使いやがって、キーボードの使用履歴からパスワード割り出してんじゃねぇよドジの癖して頭良いな。


「それに二人だけで暮らせって言うのも酷な話だろ」

「で、ですがマスター。そこまでするって、もう養子か配偶者じゃないですか……」

「ウザいとは言え俺の雇い主。そして子を身籠った将来有望な下僕だ。手近に置いて面倒見ておいた方がめんどくさくねーだろ。それとも地下牢プレイがお望みか」

「有り難く別荘に棲まわせて頂きます」

「よろしい」


 そうと決まれば行動開始だ。


 悪魔のゲートで例の物件を(勝手に)下見に行き、特に問題の無い事を確認。オーナーに購入決定の旨を伝え、後日現金取引する事に。いわく、もう移り住んでも良いとの事。


「つーわけで行って良いぞ。ほとんどの家具がそのままらしいから、あと必要なもんは自分らで何とかしろ。ハウスメイドを見繕っておくから、来るまでは3人で我慢だ」

「驚くほどサクサクしてますね」

「こんな人がつい昨日世界一つを滅ぼした巨悪だなんて、信じる人いるのかな……」


 ネット社会は本当に便利だ、調べればすぐに仲介会社が見つかる。おお、顧客が条件を提示して募集出来るのは大きいな。しかも個人契約と来た。今現在希望している人から探すよりは効率的かも知れん。


 そんなわけで、期待を込めてサイトに募集文を乗せた。



―――― 家政婦募集 ――――


名前:しんや 性別:男性

勤務地:北海道

主な仕事内容:掃除洗濯炊事や買い物などの家事全般

勤務時間:朝9時~翌朝9時(実働12時間)

給料:月給45万円(交通費全額支給、家賃全額免除)

希望する性別:女性


コメント:

 女性二人を丘の別荘に住まわせる事になり、住み込みで手伝いしてくれる家政婦さんを四人~五人ほど探しています。


 邸内の掃除、買い物や食事の用意、洗濯など、基本的に必要とされる家事をやって頂きたいです。あとは現地でお願いされた事のお手伝い等をして頂ければ十分です。


 住居人は少しクセが強いですが、馴れれば楽しい人達です。

 ファンタジーの様な不思議な日々が送れる事を約束します。


 日程や時間の都合を合わせて頂ければ、日本の何処でも面接致します。

 詳しい事はメールでご質問下さい。


 元気ある方の応募を、お待ちしております。


 ―――――――――――――――



「こんなもんで良いだろ」

「これで本当に来るんですかね」

「実績ある会社の運営してるサイトだ、利用者は多い。つまりはヒット率が多いんだ。こっからが大変だぜ」


 ああ本当に楽しい事になりそうだ。


 良いメイドさんが来てくれる事を期待しよう。

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