第2話

地元に意気揚々と戻る準備をしていた。

しかし、ここで思い通りにいかないことに直面した。会社の寮は満杯、実家も受け入れ拒否の状態だった。

仕方なく自分でアパートを探し、引っ越す予定の2日前ようやく決まった。

こんなバタバタも4月中旬には収まり、新たな仕事への意欲が湧いてきた。


またも想定外の事態が発生した。給料が前の職場からかなり減ってしまった。

ここから僕の頭の中では金のことばかり考えるようになっていった。

そして不安からか食事で使う金を酒に回していた。


半年前は演技で身体を壊すフリをしていたが、こんなにも早くに返ってくるとは思いもしなかった。

毎日金のことを考えては不安になり、酒に走った。この生活のおかげですぐさま身体に支障をきたした。

思いもよらない人生2度目の休職に入る。前回と近いため長めの休職が宣告されていた。


休職し始めると、時間だけが溢れた。

給料もなくなったので金を借り、その金で朝から酔いつぶれるまで酒を飲み、煙草を吸った。何も得られない、ただただ精神だけが磨り減っていくのを感じた。なんのために戻ってきたのか分からず、夜な夜な枕を濡らした。

この時に初めて死のうと思った。しかし、具体的ではなくただ漠然としたものだった。


会社側から家族に連絡がいったようで、実家に収容された。

それからも体調を崩しがちの生活が続き、酒と煙草には依存しっぱなしだった。そんなことを知らずにか家族は体調を崩す僕に非難という言葉の怨嗟でさらなる追い討ちをかけていった。

それから僕は狂っていった。車が突然追突してくれないかと願ったり、駅で電車を待っているときに誰かに突き落とされることを願ったりしていた。不可抗力でどうにかならないかと祈った。


人間の防衛機能なのかは分からないが、この生活を続けていくうちに死にたいという感情から家族に対する恨みの気持ちが僕の中で大きくなっていた。どうして地元に戻る際に頼ろうとしたのかと己を恥じた。そんな愚痴を上司や産業医に対して話していた。

そんな生活を続けていくうちに会社から異動の話が来た。また始めの職場の近くだったが、僕は二つ返事で了承した。家族からすぐにでも離れたかった。そのときのストレスの大きな原因は家族だったからだ。

精神が荒れているのには気づきながらもまたもや環境を変える荒療治を断行してしまった。

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