第25話 作戦開始
船長から、艦橋への集合命令が出されていた。
ケン、レナ、ルークは、艦橋の扉を開けた。
既に、何名か主要なメンバーが集合していた。
中央のテーブルには、ルークとの闘いで壊れたリッキーの部品が置かれていた。
その様子は、バラバラ殺人事件の死体がテーブルに並べられているようで、集合した者は、息をのんで立ち止まった。
それが機械と分かると落ち着きを取り戻し、部品を観察し、何やら話している。
最後に船長が艦橋に入ってきた。
「揃ったな!」
船長が大きな声で言い、集合メンバーを見渡した。船長は、注目されていることを確認し、リッキーの部品の前に立ち、話を続けた。
「このアンドロイドは、ケンを襲い、その結果このようになった。幸いなことに、ルークの活躍で、ケンには大きな怪我はなかった。よくやった、ルーク」
集合したメンバーがルークを称賛した。船長は、話を続けた。
「このアンドロイドから通信信号が発信された……。パイオニア号のモノらしい」
メンバーから驚きの声が漏れる。
「……昨日未明、パイオニア号がこちらにコースを変えた。気付かれたようだ」
船長は、一同を見つめた。
「これから、厳戒態勢に入る!一か月後、対戦可能距離に到達する!」
「パイオニア号からの攻撃から、十年余り経つが……。ついに私たちは、パイオニア号、サイコパスAIのアルフレッドと戦う時がきた。アルフレッドは、完全に消滅させなくてならない。人類の存亡にかかわる戦いと認識している。……各自、気を引き締めるように!」
メンバーの表情が変わった。ざわつきが収まるのを待ち、船長が口を開いた。
「大まかに作戦を確認する。先ず、この船の防御だ」
「直ぐに、スペース・ジャンクを船から切り離し、船の周りに再配列します。六時間で終了します」と、オペレータからの報告。
「パイオニア号の通信システムを封じる。レナ、通信電波捕獲網は?」
「これから、パイオニア号に向けて発射します。500個程ですが、これで、パイオニア号を包囲できます」と、レナ。
「この通信電波捕獲網は、ステレス性能も高いので、パイオニア号に気付かれずに近づくことができます」と、ケンが付け加える。
「これで、人工知能が通信での逃亡も許しません」とルークが更に付け加えた。
「マザー、アルゴⅡは、どうなっている?」船長が訊いた。
「準備は、出来ています。ルークと私が同乗します」
マザー。スクリーンに宇宙艇が表示された。一同から、驚きの声が上がる。
「アルゴⅡです。……アバターロボ5体を搭載しています」
「マザー、ルーク、パイオニア号に潜入後、連絡が取れないぞ。手順を確認するように」
マザーとルークに指示し、そして、船長は、一同を見渡した。
「各自、戦いに備えてくれ!」
一同は、それぞれの役割を果たすため、艦橋を出て行った。
ルークが、アルゴⅡの格納庫に向かっていたとき、通信が入った。
マザーからだった。二人きりで話したいとのことだった。
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