第20話 訪問者リッキー

 ケンとレナとルークが艦橋に到達した時は、スクリーンに“侵入者あり”の表示が点滅し、その様子が映し出されたいた。遠くの方から、何やらもぞもぞとこちらに向かってくる映像が映っている。

「人か……。拡大してくれ」と、船長。

「何か受信しました。スピーカーに出します」オペレータが言った。

「こち……、……だ……」通信機の調子が悪いせいか、とぎれとぎれに聞こえる。

「人だ!」ケンとレナは、顔を見合わせた。

 スクリーンに一人の男が映っている。身長一八○センチ、年齢二十代痩せ型。

「私の声が聞こえるか?聞こえたら、手を挙げてくれ」

 船長が問いかけると男はゆっくりと手を挙げた。

「第三ゲートに向かってくれ。向かって右だ。そこに入ってくれ」

 と、船長は三ゲートを開けるようにオペレータに指示した。

 第三ゲートに男が入ると扉が閉められ、滅菌処理が行われた。

「船外服を脱いで、次の部屋に入れ。着替えはその部屋にある」

 船長が男から目を離さずに言った。

 男はゆっくりとヘルメットを脱いだ。ゆるいカールがかかった髪、青い目がカメラを見つめた。

「これ、あんたの?」

 カメラの前に黒い紐の先に楕円形の物体をブラブラさせていた。それは、ケンの作ったネズミ型ロボットだった。

「ああ、それはそこに置いて」ケンが言った。

 船長は、警備隊を第三ゲートに向かわせた。念入りにボディチェックをし、ラウンジに通すように指示をだした。

「マザー、彼のデータは、検索してくれ」すぐに、マザーから返答があった。

「彼のデータは、登録されたいませんが、スキャンしたところ、問題なしです」

 船長は、下を向いて少し考えて言った。

「お客様をラウンジに案内しろ。ルーク、相手をしてやってくれ」

「……僕らも行きます……」とケン。

「ん、……武器は無いようだ。ケン、気をつけて…」船長が言った。

 ケンとルークは、ラウンジに向かった。

 スクリーンには、警備隊が第三ゲートに到着し、ボディチェックをしている様子が映し出されていた。


 警備隊が、男をラウンジに連れてきた。

 ラウンジには、ケン、ルークとレナが待ちかまえていた。

「こんにちは、僕はケン。ルークとレナだ」

「俺は、リッキー」男は、ちょっとかすれた声で答えた。

 リッキーがケンに握手をしようと右手を差し出した。ルークがケンより先に握手しながら、ケンに言った。

「ケン、船長に頼まれたのは、私です」ケンが出しかけた手を引っ込めた。

 ケンは、ルークが自分の安全を守るため、先に握手したことに気付いていた。

「用心深いね。大丈夫、俺は安全だよ」リッキーはニャッと笑いながら言った。

「安全かどうかは、こちらが判断します」ルークが答えた。

 ルークは、ケンとレナに、安全であることを目で合図した。

 二人は、リッキーと握手した。

「そこに座って。後から、船長がくるわ」とレナ。

「君らの関係は?」リッキーが、ケンとレナを見ながら訊いた。

 二人は、顔を見合わせて、答えに詰まっていた。

「恋人ですよ。リッキー」ルークは、リッキーの肩を叩いた。

「恋人か……」リッキーは肩をすくめた。



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