第13話「どこにも行けない場所」
「かごめかごめ、かごの中のトリは、いついつ出やる。夜明けの晩に、鶴と亀が滑った。後ろの正面だあれ?」
私は、子どもでもない。
そして……大人でもない年齢。
私は18歳。そして、私は死んだ。
3日間。私は、どこの世界にも行けななかった……
えっ!死んだら、あの世に行けるんじゃないかって?
そんな訳ないじゃん。
あの世に行った奴はいない。
つまり、いや、あの世なんてなかったのだ!
だから……。
死んだら、しばらくの間、「魂しい」の時期があり……
いずれ、本当に消える。
ただ、それだけだ。
だから……
「帰れる所があるのだから……ちゃんと帰りなさい。」
と、知り合った「あの人」が教えてくれた。
「僕は、そう思うよ。また、いつか来ればいい。それまで、待っているから……ね。」
と、あの人は言った。
あの人は、しばらくはいるという。
あの人を呪縛しているものは、それだけの力を持っているという事なのだろう。
「さあ、行こう。一緒にそこまで、ついて行くよ。」
そして……
私は、目を覚ました。
「どこ?いるの?」
と、言いたいが、声が出なかった。
しばらく声を使っていなかったからだ。
「良かった!目を覚ましたわ」
と、周りは喜んでいる。
私は、一か月ぶりに目を覚ましたのだった。
私はついさっきまでいた所に想いを馳(は)せ、泣いた。
もうこれ以上、どこにも行けない場所に。
『僕のために泣いてくれてありがとう。先に行く、本当にさよならだ』
あの人の声が聞こえた。
もう会えないところへ行ってしまったのが分かった。
『それまで、待っているって言ったのに』
その時はそう思った。でも違った。
生きている時間は短いが長い。
その意味を知った時。
『先に行く、本当にさよならだ』
きっと優しい笑顔で言っただろう言葉を思い出し……
そして私は現実の中、愛するもの、愛する人を思い、また泣いたのだった。
おしまい
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