第2話 バシス

 燦々と光が窓から差し込んでくる

そんな宮殿の廊下を(コケながら)アリサは走り抜け、女王ミュラの私室の前まで来た。


 扉をノックしようとした時、中から二人分の怒声が聞こえてきた。片方はミュラだ。もう片方は分からない。たまに合いの手のようにロストの声も聞こえる。

 アリサはしばらく待っていたが、いつまでも終わらなそうだから、ノックののち、問答無用で扉を開ける。


 ミュラはアリサに気づき「あらアリサじゃない」と笑顔で言い、執事のロストは紅茶でも淹れるのかいそいそと奥に行った。

 

「アリサ入ってちょうだい……バシスは出てって!」


 追い出した際に、その男「バシス」とやらは「また近々くるぜ」と言い残した。


「あいつっ……!!」


 ミュラは凄い顔で男が出て行った扉を睨む。


「ミュラ、凄い顔してますよ……」


 アリサはつい敬語になる。

 彼女に言われて「あらいけない」といつもの顔に戻るミュラ。


 執事が奥から紅茶と菓子を持ってきた。

ミュラは定位置の玉座に座り、アリサはその向かい側の席についた……。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

方舟~新日本神話外伝~ 右日本 @9912

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る