不思議の国のクリスマス

@kesorumo_peita

イタズラ猫のサンタクロース


 クリスマス、それは12月の25日の朝、良い子の枕元にプレゼントがもらえる日。

ですが、悪い子には悪いものが配られるという噂もあります・・・・。

・・・じゃあ、「イタズラ大好きな子」がプレゼントを配り歩いたら、どうなっちゃうんでしょうか・・・。



クリスマスの夜も更けた頃、アリスの家の屋根には、怪しい猫が一匹現れました。


「ニシシ・・・既に作戦第一段階は成功だ。アイツらマッドティーパーティー組と代用ウミガメは朝起きたら阿鼻叫喚まつりになるだろうね。ニシシシ!!!さてと・・・お次だ♪」


 チェシャ猫がそーっと窓から中の様子をうかがうと、ベッドルームで寝間着姿のアリス、時計ウサギ、ダイナが楽しそうにおしゃべりをしていました。



アリス「こうやってみんなでお布団でお話しするのって、楽しいわね!」


ウサギ「で、でででももう時間が・・・」


ダイナ「時計ウサギは時間を気にしすぎニャ。今夜位もっとんのびーーーっと羽を伸ばすニャ。」


ウサギ「でででも、早く寝ないと女王様に怒られちゃうし、そ、それに・・・サンタさんも来ないかもしれないですよ!!」


 ウサギの発言にたいして、飛び起きるアリスと、よりだれーんとした格好になるダイナ。アリスはサンタクロースを信じていて、ダイナはちょっと否定的みたいですね。


アリス「サンタクロースさん来るかな!?」


ダイナ「こにゃいこにゃい!せいぜいいたずら好きのチェシャ猫あたりが、へんてこな物をプレゼント代わりもってくるくらいニャ!」


アリス「えー、そんなことは無いと思うけどなー。」


ダイナ「アリス・・・一体どれだけ今までアイツにイタズラされて、からかわれてきたか忘れたニャ?」


ウサギ「怖いイタズラはもう嫌ですぅ・・・。」


アリス「それは覚えてるけど・・・確かにチェシャは気まぐれで神出鬼没のいたずらっ子よ。だけど、悪い子じゃないわ!!ちゃんとあたしや、皆の事を考えてくれる優しい子だもん!こっちが優しくしてあげたらいいんだよ!

 だからね、ふふふ・・・いいこと考えてあるの!チェシャ猫はいろんなところを歩き回ってるから靴がもうボロボロでしょ?だから、これをプレゼントするつもりなの!!」


 そういってアリスが取り出したのは、丈夫そうな、でも不格好な一足の靴でした。


ダイナ「これはまた・・・ニャんというか・・・個性的な靴だニャ。。。」


アリス「えへへ。これはね、おじさんに教えて貰いながら、あたしが作ったの!!」


ウサギ「く、靴なんて作れるんですか??」


アリス「うーん、難しかったわ。でも一生懸命縫えたからちゃんとした丈夫な靴になってる筈よ!ちょっと形はいがんじゃったけど・・・。」


ダイナ「いずれにせよ受け取ってもらえるかが怪しいニャァ。・・・・でも気持ちはわかるニャ。しょうがニャイ、たまたまあったソールを靴の中に敷いておくニャ。そうすればもっと安定するし、靴の中もあったかいニャ。」


時計「わ、私も・・・こ、これ。懐中時計の紐にも使ってる丈夫な紐なの。だから靴ひもが解けたりはしないと思う。」


アリス「いいの!?きっとチェシャ猫も喜ぶわ!!明日の朝が楽しみね!!!」


ダイナ「そうだにゃー・・・。もう眠くなってきたニャ・・・そろそろ・・・寝る・・にゃ」




 ダイナのあくびを皮切りに、三人は寝静まってしまいました。


チェシャ「やっと寝たか・・・。ほんとに下らない話ばっかりしちゃって。そんな話でこのチェシャ猫様のイタズラから逃れられると思うなよ・・・とっとっと。あーあ、靴の底抜けちゃった・・・。この靴も寿命かぁ・・・。」


 何もない所でつまづき、不思議と破れてしまった靴。チェシャ猫は、その靴と、アリスが大切そうに持っている靴を見比べて・・・・。



 翌朝

ウサギ「アリス!ダイナ!もう起きる時間だよ!!」


アリス「うう~~ん、まだ眠いわ・・・ふぁ・・・」


ダイナ「あちし朝は弱いんだニャ・・・ん?なんかあたったニャ。」


ウサギ「そう、そうなの!!!二人とも目を開けて枕もとを見て!!!」


 二人が目をこすりあけると、そこにはプレゼントの包みが!!


アリス「うわぁ!!!これ、サンタさんがくれたのかな??」


ウサギ「明けてみよ!開けてみよ!」


 それぞれがプレゼントの袋を開けてみると、アリスには新しい本ときれいな羽ペンが。

 ウサギには懐中時計を入れる袋と、お手入れセットが。

 ダイナにはその大きな手にもすっぽり入るあったかい手袋が入っていました。


アリス「うわぁ!これ、すっごい欲しかった本!綺麗な羽ペンまで!!」


時計「こ、これは助かります!!時計が壊れたら大変なのです・・・。」


ダイナ「あちしのこの愛らしい肉球パンチにはまる手袋があるにゃんて・・・。」



 そして、アリスたちの用意していた靴は、いつの間にか別の靴にすり替わってしまったようです。

 後でチェシャにその靴を渡しに行ったら案の定その靴は受け取ってもらえず、捨てられてしまいました。

 でも、三人は気づいていました。チェシャ猫のはいている靴が、不格好だけどしっか縫われていて、あったかくて、ほどけにくい紐でできている事に・・・。


めでたしめでた・・・・

っとその前に、ハッタたちの様子も見ておきましょうか。



ハッタ「ヒャッハー!!おいネズミ、ウサギ、カメ!!起きてみろよ!すっげえプレゼントが来てるぜ!!!」


三月「んん??…アッハー!これジャガイモじゃない!!!クリスマスにジャガイモ!プーー!!!わけわかんね!!!」


ネズミ「むにゃ・・・こっちはモツ煮がぎっしり・・・・ん、なかなかうまい。」


カメ「す、スープ?なんでスープ!?あ、これで僕もダシになれって事か・・・ん?でもコレ、ダシとってあるぞ・・・?」


ハッタ「そして俺んところには大量の炭だ!!!つまり・・・これは・・・?」


ハッタ「ジャガイモとモツの煮込みパーティだ!!」

三月「いもモツパーティーだ!!」

ハッタ・三月「「イモッパだーーーー!!!!!!!」」



どうやらこちらも結果オーライのようですね。

めでたしめでたし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

不思議の国のクリスマス @kesorumo_peita

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る