6話 名前

 ウタイ「名前……なぁ。」


 錆びた剣「そうだ!名前だ!あっ、かっこいいのにしてくれよ。」


 うーん、と、ウタイは顎に手をやり考えてみる。


 ウタイ「……けんちゃん?」


 錆びた剣「近所の幼馴染みか!」


 ウタイ「……ナマクラ?」


 錆びた剣「喧嘩売ってるのか貴様!」


 ウタイ「……小青竜湯?」


 錆びた剣「お、字面はかっこいい……って誰が漢方薬じゃ!」


 ウタイ(ノリツッコミ……だと?)


 伝説の聖剣のツッコミスキルの高さに驚きを隠せないウタイであった。


 ウタイ「じゃあ、どんな名前が良いんだよ。」


 錆びた剣「そりゃもう。すごく伝説っぽくて、聖剣っぽいのだな。」


 ウタイ「ぽいってお前、本物じゃねぇのかよ。」


 錆びた剣「レジェンド勇者アトミックブレード……的な?」


 ウタイ(刀身以上にセンスが破滅的。)


 伝説の聖剣のネーミングセンスの無さに驚きを隠せないウタイであった。


 ウタイ「あー、じゃあ、『ラスティ』でどうだ。『ラスティ・ソード』」


 錆びた剣「……ええやん。」


 ウタイ(訛った!?)


 ラスティ「良し。じゃあ我輩の本当の名前がわかるまで我輩はラスティと名乗ろう。

 まずは、慣れねばな!ウタイ。我輩の名は?」


 ウタイ「ラスティ。」


 ラスティ「はーい!」


 ウタイ「ラスティー!」


 ラスティ「はーい!!」


 と、嬉しそうに錆びた聖剣は返事をする。


 ウタイ(意味は『錆びた剣』って意味なんだけどな)


 無邪気な返事は森を木霊した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る