4話 妥協

 錆びた剣「ウタイというのか。貴様。苦しゅうないぞ。」


 ウタイ「殿か。お前は。」


 錆びた剣「あっ!またお前言ったな!たたっ斬るぞ。剣だけに。」


 ウタイ「はいはい。」


 錆びた剣「ふはは!冗談だ!聖剣ジョーク!ふぅー!」


 ウタイ(うぜぇ……。)


 錆びた剣「さて、ウタイよ。時は来た。実は魔神の復活が近い。我輩にはわかる。我輩、聖剣だから。」


 ウタイ「嫌だ!」


 錆びた剣「まだ何も言ってない我輩!」


 ウタイ「言わなくてもわかる。どうせ、『我輩抜いて勇者になるでごじゃる~。』とか言うんだろ。このボロ剣が。」


 錆びた剣「いや、色々ひどい!」


 ウタイ「このボロ剣がっ!」


 錆びた剣「なんで2回も!?」


 ウタイ「俺は薬師だ。勇者にはならねぇ。」


 と、様々な薬草が入った背中のかごを親指で示すウタイ。


 錆びた剣「薬師?……うんまぁ、村人とかも勇者になった例はあるし、本当は流行りの異世界人とかが良かったけど、うん。薬師、全然OK!」


 ウタイ(うわぁ、めっちゃ妥協してる……)


 錆びた剣「ちなみに魔法は?」


 ウタイ「からきし。」


 錆びた剣「剣の腕は?」


 ウタイ「皆無。」


 錆びた剣「ちぃっ!」


 ウタイ「舌打ち!?」


 錆びた剣「でも大丈夫!今日から君も勇者だ!というか、うん!もう誰でも良いから抜いて!贅沢言わない我輩!」


 ウタイ「(怒りに震えながら)絶対、抜かねぇ……。」

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