第6話
「はっ?!」エルは溝呂木が自分に向かって言った事が全く理解出来ないでいるとコンサート待ちで周りに居てた溝呂木もどきが騒ぎ出した。
「キャ…キャワワ…。」と言う声と共にライブステージ前に集まっていた数百人の溝呂木もどき達がエルの周りに集まりだした。
「ななな、なんじゃっ!お前たちは私の周りに集まってきおって!関係のない者はあっちに行っておれ!シッ…!シッ…!」と掌を2、3回程追い払うよに振りながらエルは言ったが数百人程いる溝呂木もどき達は一糸乱れぬカバディの様な動きでジリジリとエルに近づいていく。
「「「「…「「キャワワッ!…キャワワッ!…キャワワッ!…キャ……」」…」」」」
数百人程いる溝呂木もどき達は呪文の様に繰り返し合唱しながら一糸乱れぬカバディの様な動きがさらに早くなりエルの周囲を囲みだした。
「まるでゴキブリに囲まれているみたいだな…」全身が黒い服装の溝呂木もどき達がエルを包囲している様子を遠巻きで見ているゼンは腕を組みながら言った。
「ゼ、ゼンさん…そんな身もふたもない事を…」朽樹は笑いを堪えながら言った。
「おいっ!溝呂木っ!…ってお前も一緒になって何をやっておるっ!!こ奴らはなんじゃっ!!不気味過ぎるのじゃっ!なんとかせいっ!!」と言いながら近づいてきた溝呂木もどき達を片っ端から前蹴りしながら言った。
蹴られて吹っ飛んでいく溝呂木もどきたちは「アフンッ♪!」や「ご褒美wwwww!」と奇声を上げて遠くに飛んで行った。
「まさか女神【エルたそ】がこれ程可愛いお方だったとは…!パーカーでお顔が隠れておったとは言え不覚だったでござるww!!」と霊体の溝呂木は血の涙を流しワナワナと震えながら言った…カバディの動きを続けながら…。
エルは先程の魔法の爆風でエルの深々と被っていたパーカーが脱げている事に気が付いた。
煌びやかなショートカットの銀髪をサラサラとなびかせて絶世の美幼女の姿がそこに現れていた。
「【エルたそ】とはなんじゃっ!!そんな変な呼び名で私を呼ぶでないっ!!気持ち悪いのじゃっ!!」溝呂木もどき達を蹴り続けながらエルは霊体の溝呂木に文句を言った。
「ぷっ!女神だってよ…。」と笑いを堪えられずにゼンは声を出した。
「おいっ!ゼンも笑ってないで何とかするのじゃっ!!」蹴り続けられてもなおも喜々として近づいてくる溝呂木もどき達に悪寒を感じながらエルは助けを求める様にゼンに言った。
すると溝呂木もどきの一人が朽樹とゼンに気付き近づいてきた。
「おっ!お主達こちらの女神と知り合いかっ!!ならば是非に詳細をっ!!」と近づいてきた一人の溝呂木もどきが言うと次々に朽樹とゼンに気付いた溝呂木もどき達が集まりだしてきた。
「う~む…、これは予想以上に気持ち悪い…。」とゼンは一糸乱れぬ動きを見せている溝呂木もどき達を見ながら言った。
「拙者も是非!!…拙者もっ!…拙者もっ!!…」と言いながら我先に周りの溝呂木もどき達も朽樹とゼンにカバディの動きで詰め寄る様に周囲を囲みだした。
エルは溝呂木もどき達が朽樹とゼンに意識を向けている隙にすぐさま自分の足元に魔法陣を展開した。
「今じゃっ! 宗一郎!、ゼン!こっちに来るのじゃ!」とエルは言うと朽樹とゼンは一足飛びで溝呂木もどき達を飛び越えエルの下まで行くとすぐさまエルは瞬間移動の魔法を発動させた。
「「「「…「「あぁwwww!!!女神【エルたそ】様wwwwww!!!」」…」」」」
数百人の溝呂木もどき達の断末魔にも似た悲痛な叫び声と共に朽樹、エル、ゼンの足元に魔法陣が青白く光りを放つと瞬時に姿を消していった…。
朽樹は気が付くとそこは朽樹が最初に挨拶をした警察署内の部屋が広がっていた。
ドタドタと床を鳴らしながら朽樹が最初に会った少し小太りで白髪混じりの短髪で口ひげを生やした男性が急いで近づいてきた。
「おおぉ~♪、もう終わったのか素晴らしい!。優秀な部下が増えて私も鼻が高い♪!!」朽樹の両手をガシッっ!と鷲掴みの様に握りしめて嬉しさを現しながら口ひげを生やした男性が言った。
「あ、あの~すみません。お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」と少し困惑気味に朽樹は自分の両手を握りしめている口ひげを生やした男性に言うと口ひげを生やした男性が自分の自己紹介をしていない事に気付き申し訳なさそうに頭を掻いた。
「すまんっ!すまんっ!、私の自己紹介がまだったね。私はりシーブッヤ地区刑事課部長の金井 源五郎(カネイ ゲンゴロウ) だ!。よろしく頼むよ!」と金井はニヤッっと口髭を上げて笑みをこぼしながら朽樹に言った。
朽樹はあらためて金井に挨拶をして溝呂木殺害事件の犯人である 金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康 を捕獲している【牢獄の箱】をパーソナルシステムから取り出して金井に渡した。
「おおぉ~!。ご苦労さん、後は私どもに任せてくれ!。はやり召喚魔法の使える者が居ると大変助かる!。…亡くなったお父さんも大変優秀な方だったから頼りにさせてもらうよ!。」
と言いながら金井は朽樹から渡された【牢獄の箱】を強力な結界が施してある金庫の様な形をした棚に保管した。
それから霊体の溝呂木を強制的に呼び戻し金井は2、3質問と確認を霊体の溝呂木にした後、召喚魔法を解除することになった。
「ほんの少しの間でござったが大変お世話になったでござる!。まさか犯人は自分の友達だったのがショックでござったし納得が行かないでござるがしょうがないでござる…。犯人が逮捕されたことで少しはスッキリしたでござる!。成仏するでござる!。」と霊体の溝呂木は複雑な感情を振り払うかのように元気よく言った。
「出来る事なら女神【エルたそ】様のライプを見たかったでござる…」と小声でエルの方を見ながら霊体の溝呂木は言った。
「ライプとはなんじゃ!ライブとは!私はお前たちには絶対に逢いたくないのじゃ!!」とエルは額に青筋を立てながら霊体の溝呂木に言った。
朽樹は霊体の溝呂木に使っている召喚魔法を解除すると霊体の溝呂木の足元から青白い蛍の光の様に無数の光が散らばりながら溝呂木の足元から徐々に消えていった。
「おっと忘れておった。溝呂木、お前のパーソナルシステムな親族に遺品としてそのまま渡すことになっておるからな。安心して成仏せい!」と少し意地悪な笑みを浮かべながらエルは溝呂木に言った。
「ぴぎゃあぁwwwwwwww!やぁwwwwめぇwwwwwてぇwwwwww!!!!!!!せめて画像データだけでも消去しといてぇぇwwwwww!!!」顔だけになった霊体の溝呂木は断末魔の如き絶叫と共にはかなく消えていった…。
「これで安らかに成仏できるじゃろうの♪ナ~ムー…」スッキリとした顔で消えていった溝呂木に手を合わせながらエルは言った。
「地縛霊になって出てきそうですよ…。」とため息交じりで朽樹はつぶやいた。
「そうそう。朽樹君、初事件はどうだった?何か必要な物とか今後何か訓練や技術が必要な事は無かったか?」と金井は言うと朽樹はエルとゼンの顔を見て
自分に何か足らない技術等があるのか聞いてみた。
「格闘術の方はまだまだだがワシが鍛えるから大丈夫だ!すぐに一人前になるぞ!」と朽樹の肩に手を掛けながらゼンは自慢げに言った。
「魔法も実践向きで中々の物じゃ、更に経験を積めば父を超えるの日も近いのう…それに父親譲りの良い男じゃよって私が更に手取り足取り教えてより私好みの良い男にしようかの♪。」と言いながらエルは朽樹に抱きつく様に両手を朽樹の首に回しながらウットリとした表情で朽樹を見つめていた。
朽樹は顔を赤くしてアワアワと動揺しながらエルにされるがままになっていた。
「はい!、はい!、親の前で誘惑は止してもらえます?。エ・ル・お・ば・さ・ま!」と突然、朽樹の後ろから女性の声が聞えた。
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