第5話


「魔法陣のストックとして3個はバランスが良いな。2個だと少なくてあまり連射が利かねぇし4個以上だと制御が難しいからな…。」とゼンは満足そうに言った。


「全部消し飛ぶでござるぅwwwww!!!」金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康 の叫びと同時に赤く光っていた魔法陣が掌に集束する様に小さくなった瞬間、轟音と共に巨大な火柱が上がり朽樹達を襲う……筈だったが火柱が現れた瞬間に光の膜が火柱を包み込みドッチボール程のサイズまで小さくなると光の膜の球体の中に炎がうねりを上げて凄まじい勢いで暴れていた。


「危ない事をするのう~こんな至近距離から中位魔法クラスの魔法を使うでない。危うく大けがをする所じゃったわ。」金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康 の魔法をエルは瞬時に発動した空間魔法で包み込みながら言った。


「なっ!、なんとっ!!!。……ならばっ!!」驚愕をあらわにした 金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康 は体型とは不釣り合いな素早い動きで距離を取るように飛び退くと同時に下位の火属性魔法を火柱を抑え込んでいる空間魔法に向けて放った。空間魔法に直撃すると光の膜が弾け飛び爆音と爆風が凄まじい勢いで噴き出した。


「ぬうっ!」


「むっ!」


「うあっ!」


朽樹、エル、ゼンは少し驚きの声を上げてその場を飛び退いた。


「宗一郎やあ奴はほっといたら無茶をして道連れにされたらかなわん。自滅するまえに捕まえるのじゃ。」とエルは朽樹に指示を出した。


「わかりました!。では行きます!。」と言って朽樹は先ほど腕に展開していた魔法を 金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康 に連続で放ちながら一直線に走り向かった。


青く光っていた魔法陣が掌に集束して拳大の氷柱が連続して現れ音速で 金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康 を襲う……が、すぐさま 金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康 は自分の周りに防御魔法を展開した。 金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康 の1m程手前で音速で飛んできた氷柱がまるで壁に当たった様に空中で粉々に砕け散った。


「下位魔法如きでは拙者の防御魔法は破れぬでござるwww!!」気持ち悪い笑みを浮かべ 金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康 は叫ぶと先程の魔法陣より少し小さ目の赤く光っている魔法陣を展開した。先程より短い時間で赤く光っている魔法陣は 金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康 の掌に集束して火属性魔法を朽樹に放った。


炎の壁が現れ津波の様に朽樹を襲う。炎の壁は朽樹に直撃すると瞬く間に炎の壁は掻き消され朽樹の周りに半透明な白銀に光り輝く巨大な鎧を纏った腕が出現してその掌で包み込むように朽樹を守っていた。


「バッ!、バカなっ!!!!」絶叫にも似た驚愕の声を上げて 金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康 は立ち竦んでいた。


「なっ!、なんとっ!禁忌の鎧【タケミカヅチ】を召喚出来るのかっ!。想像以上じゃ!。」エルは驚きと共に満面の笑みで言った。


「流石は朽樹さんの息子だなっ!!!」ガハハハッと笑いながらゼンは満足そうに言った。


瞬く間に 金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康 に接近して朽樹を守っていた腕が伸びた瞬間、 金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康 を掴むと


シャボン玉が弾ける様になんの抵抗もなく防御魔法が弾け飛び握り潰す様に包んだ。


「ぐえぇっ!!バッ!防御魔法がっ!!、うぐぇっ!!」 金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康 は涙目で叫びながらもがこうとするが巨大な腕で握りられて全く動けないでいた。


朽樹は自分のパーソナルシステムを脳内表示で開きアイテム項目から【牢獄の箱】を選択した。すると朽樹の目の前に突然空間が丸くくり抜かれた様に真っ黒い空間が現れるとそこから手のひらサイズの真っ黒な四角い箱がこぼれる様に現れて朽樹はその黒い箱を手に取った。


「それでは拘束しますのでエルさん、認証をお願いします。」と朽樹は言うとエルの下まで向かい持っていた黒い箱にエルの魔力を流し込んでもらった。


「 金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康、溝呂木さん殺害の容疑で逮捕します。」と朽樹は言うと黒い箱に魔力を流し込み地面に置いた。


黒い箱は赤く鈍く光りだすと機械音声が聞こえてきた。


「シーブッヤ地区所属エル・カルマ刑事の認証魔力を確認…拘束者シーブッヤ地区所属 朽樹 刑事の魔力を確認…認証完了。拘束対象者を入れてください。」


朽木は機械音声が終わると 金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康を握っていた巨大な腕で黒い箱に突っ込む様に近づけた。


金剛慈悲六角山衛喜三郎座衛門乃将秀康が黒い箱に接触すると瞬時に吸い込まれていった。


「逮捕しました。」と 朽樹 は手のひらサイズの黒い箱を持ちながら言った。


「うむ♪、うむ♪、十分過ぎる程良い出際じゃ。」と満面の笑みでエルは 朽樹 に言った。


「ああ…。初めてにしては上出来!上出来!もう一人でも十分だな!。」ガハハハッ!と笑いながらゼンは朽樹の肩を叩いていた。


朽樹は咽ながらエルとゼンにお礼を言うとエルは空間魔法で張っていた結界を解いた。瞬時に灰色の景色が元に戻り周りに居た人も姿を現した。


「これで溝呂木殺害事件も終わったから後の事は処理班に任せて私達は食事にでも行こうかの。」とエルは朽樹とゼンに言った。


「おっと、忘れる所じゃった。溝呂木やお前はもう事件は解決したのじゃから安らかに成仏せい…ん?。どうした?…溝呂木…。」とエルは溝呂木に言ったが溝呂木は呆然とエルを見つめていた。


「め、女神…。」と溝呂木はつぶやいた。










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