第2話



朽樹 は頭部を吹っ飛ばされた首なし死体の傍まで向かうと死体に手をかざし魔法式を唱え始めた。


すると死体を包み込むように無数の文字がドーム状に赤色に光って激しく文字が変わりながら死体を埋め尽くすように現れた。


赤色に光って表れた文字が死体が見えなくなるほど埋め尽くすと突然粉々にはじけ飛ぶように消えていった。


すると死体から半透明の人の姿が現れた。


少し頭のてっぺんが薄くなっているのをごまかす様に前髪を立たせてボリュームを出している七三分けの髪型をした小太りの男性が黒の半そでシャツに黒のカーゴパンツを履いていてリュックサックを背負った姿で現れた。


「うむ、流石じゃな…お前さんの父親に匹敵するぐらいの腕前だね。」と満足そうに エル は 朽樹 を褒めるように言うと エルの声に反応したかのように死体から現れた半透明の男性が 朽樹 達の方を見た。


「ぬぅっうぉふwwwww!!!、おっお主達は誰だwww!、なぜ拙者の最重要拠点【アヴァロン】にいるのだwwww!」


死体から現れた半透明の男性が野良猫が後ろから突然やって来た人に驚く様な素振りで驚きの声を上げた。


「さっ!、さては拙者の神の秘宝【ハルハルのケストス】を奪いに来たのだなっ!、させんぞっ!wwwwwさせはせんぞwwwww!!」


と言いながら死体から現れた半透明の男性がお尻を後ろに突き出した格好でどこからともなく取り出した長さが約30cm程ある棒を取り出すと七色に発光しだし剣を持つように 朽樹 達に構えた。


「かっ!、かかってこいwwww!!、こ、この強盗共めwwwww!!!せっ!拙者の神剣【クラウ・ソラス】で滅殺してくれるwwwww!!!」


小声で「ホアチャー…」と言いながら死体から現れた半透明の男性が訳の分からない構えを次々と変えだしながら持っている棒が優しく七色に光を放っている。


「…。」


「…。」


「…。」


朽樹 、ゼン 、エル は痛々しそうに死体から現れた半透明の男性を見つめている。


「ホ、ホアチャー……」段々とさらに声が小さくなりながらも分からない構えをやり続けている死体から現れた半透明の男性。 朽樹 は見ているのが恥ずかしくなって話を切り出した。


「あ、あのですね私達は警察の者でして…言いにくいのですが実はあなたは先ほどお亡くなりになられましたので…その~亡くなった状況を知りたいので私の魔法であなたの霊体を此方に呼んだのですが…覚えてるでしょうか?」


「嘘乙wwwwwww!!!プーwwwwwクスクスwwww!!!!拙者が何故死なねばならぬでござろうかwwww!!!乙wwwwwwww!!!」


「で、ですから…。」と 朽樹 は理解してもらおうとさらに説明しようとしたが エル が遮る様に話し出した。


「言っても分からぬのなら、ホレ!、下を見てみな。お前の頭をふっ飛ばされた体が転がっているではないか。」


「嘘乙wwwww!…?う、うそ????うぃ?うぇ?!!!!!うぎゃあああああ!!せ、拙者の!かっ体があぁぁぁwwww!!」と言いながらようやく自分が霊体になった事を理解して半狂乱状態でのたうち回りだした。しばらくして落ち着きを取り戻したようなので エル が詳細を聴こうと話しかけた。


「 すまないが確認だが、この死体はお前じゃな? 」


「……左様、そこに倒れているのは間違いなく拙者の体…その装備はハルハルが降臨するシャングリラに向かうためのフルアーマー…背中の高速移動型バックパック及び左右のショルダーに装備している聖剣【デュランダル】と【アロンダイト】が何よりの証拠…。」四つん這いになりながら項垂れている霊体が答えた。


「バックパック?、この両端から丸めたポスターが出ているリュックサックか?。」ゼン が無造作に死体を裏返しリュックサックをつまみながら言った。


「聖剣?。ショルダーと言う事は両肩にマジックテープでついているさっき持ってた光る棒の事?」 朽樹 は屈みながら死体の両肩にある光る棒を指さして言った。


「ええいっ!!、お前の言っていることはサッパリ分からぬっ!! 聖剣だの!シャングリラだの!! 宗一郎やそいつのパーソナルシステムを起動してそいつの情報を見た方が早い!。やっておくれ!」 エル は余りにも回りくどい言い方にめんどくさくなって 朽樹 に指示を出した。



この世界の全種族や知性を持った全生物は国や都市、様々な町で暮らす為に必要な情報をワールドシステムと呼ばれる超巨大な魔法クリスタルに自分の情報を登録する義務がある。


パーソナルシステムとはその自分の様々な情報を登録しているワールドシステムから自分の情報を何時でも何処でも取り出して表示出来る端末で形は腕輪やイヤリング、首飾り等様々である。


この超大都市トッキョや他の都市や町で暮らす場合、必ずその場所で運営管理している国や政府の機関に自分自身の証明となる情報をワールドシステムから取り出し表示して登録する義務が発生する。


その登録した情報で都市や町で暮らす為に必要な様々なサービス( 住居登録の証明や就職、仕事での身分証明等々…)を24時間瞬時に受けられる事ができる。


超大都市トッキョでパーソナルシステムは開発され今ではこの世界中あらゆる都市や町で管理運営されており経済発展の一躍をにっなっている。


身分証明の他に様々なシステムがあり自分でカスタマイズすることによって魔力を使い脳内に映像を写したり世界中にいてる様々な種族たちとゲームをしたりして娯楽の分野でもなくてはならない端末になっている。



「なっ!…なんだとっ!…せっ!、拙者のパンドラの箱を開けると申したのか?、やっ!、やめろぉwwwwwwwwwwww!やめてくれぇwwwwwwwww!!!なっ!ならぬっ!!ならぬぅwwwwwwww!!!それだけはっ!それだけはやめてくれぇwwwwww!!たのむぅぅぅwwwwww!!!」と霊体の男性が自分のパーソナルシステムを見られると思った途端に発狂しだした。


「パンドラの箱?。パーソナルシステムのことか?…なんだかワシもめんどくさくなってきたわ… 宗一郎 、ワシからも頼むわ。」と ゼン も半分諦め顔で言った。


「やぁwwwwwwwめぇwwwwwwwwwてぇwwwwwwwww!!みwwwwwなwwwwwいwwwwwwでwwwwwwww!!!! 」と絶叫しながら這いずり 朽樹 の足を持とうとするが霊体なので手が素通りした。


「わかりました。じゃあ起動します。」 朽樹 も エル と ゼン の意見に心底賛成して死体の右手に付けてある腕輪型パーソナルシステムに魔力を通した。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る