魔法世界でも刑事の仕事は大変です

@akiki

第1話


ここはニーホン国の首都トッキョ。


人族800万人、獣人族300万人、魔人族150万人、その他の知性を持った生物が50万体の全種合わせて1300万の生物が存在し世界でも類を見ない雑多な種族が暮らしている超大都市。


神様の悪戯なのか寛大な放任主義なのかそれとも


「生物の種類間違えちゃった、ごめんね♪、テヘペロ♪」


みたいなとんでもない神様だったのか分からないが知性を持った生物の種類がとんでもなく多い。


知性を持った生物の種類が多いと言う事は常識や生活のルールといった価値観も違うわけで人族や獣人等と言った種族間だけではなく民族や部族まで区分するともう訳が分からなくなって当然。


普通なら常識や生活ルールがある程度似ている種族だけで都市や町が形成するのだがこの超大都市トッキョは奇跡的に近いぐらい全部ごちゃ混ぜにしたように混在している。


当然ながら種族の違いによる揉め事や同族内での揉め事まで含めると数秒毎にあらゆる犯罪が起こる訳で……。


それでもこの超大都市トッキョに集まるのはここが超経済発展都市と呼ばれるほど便利で経済的に発展しているからに他ならないからだ。


魔法や科学、生物固有のスキルなど混在させて奇跡的な高機能な道具や超絶美味しい料理に至極の生活環境等々…欲望が具現化したような生活がてんこ盛りになっているので知性を持った生物がわんさか集まってくる。


そんな欲望まみれな超大都市の治安を守るのが刑事と言う仕事…そんな仕事が楽なわけないじゃないの。


キツイ・キタナイ・キケンの3K?、ブラック企業?、なにそれ?おいしいの?…と言うぐらい魔法が使える世界でも刑事の仕事は大変なのです…。




「本日よりシーブッヤ地区に配属になりました 朽樹 宗一郎(クチキ ソウイチロウ) です!。よろしくお願いします!。」


ガチャリとドアを開けて 朽樹 は挨拶を言ったが学校の教室程ある部屋は誰もいないかのように静かだった。


机が十数席程ありその机には山積みになったこの世界の今では珍しい紙の資料が積まれていた。


その机の奥に他の机より少し大きく黒い机があり、その机の山積みになっている紙の資料からひょっこりと顔だした男性が 朽樹 を見つけると慌てて駆け寄って来た。


「おおぉ~、君があの 朽樹 さんの息子さんか!、よく来てくれたよ!正直助かった!今人手が全然足らない状態でな早速で悪いが直ぐに現場に向かってくれ!向こうには既に伝えているから心配はない!」


と少し小太りで白髪混じりの短髪で口ひげを生やした男性が言うと 朽樹 の足元に青白い魔法陣が浮かび上がり光りだした。


「えっ!?、ちょっ!、ちょっと!、ま…」


と言いながら足元の魔法陣を見ていた 朽樹 は慌ててその小太りの男性に目を向けるとじゃ~ね~と言わんばかりにニッコリと満面の笑顔で手を振っている少し小太りの男性を目にした途端、 朽樹 は足元に現れた青白い魔法陣に吸い込まれるかのように消えていった。




朽樹 は閉じていた目をゆっくりと開けると標準的なワンルームマンションの一室に瞬間移動の魔法で移動いていた。


朽樹 の目の前には身長が2m程ある大柄な獣人と真っ黒なパーカーを着てフードを深々と被った身長が140cm程の小柄な人物の後姿があった。


「…ん?」


と言って大柄な獣人が 朽樹 の気配を察知して 朽樹 の方を振り向いた。


「あ、あの…」


と慌てて 朽樹 は自己紹介しようと声をだすとドシン!、ドシン!と音を立ててまるで部屋全体が 朽樹 に迫ってくる様な迫力で大柄な獣人が 朽樹 の所まで歩いてきた。


白い虎の様な顔に上品なグレー系のスーツを着ていてスーツが弾けんばかりに盛り上がった筋肉は片腕だけでも 朽樹 の胴体程の太さがあり手は人の様な5本指をしているが手の甲まで白い毛があり掌だけでも 朽樹 の頭がすっぽりと収まる程大きい。足も腕よりはるかに太くしなやかで強靭な筋肉がスーツ越しでもはっきりとわかる。


「おおっ!!君が 朽樹 のオヤジさんの息子かっ!会いたかったよっ!オヤジさんに似て良い面構えをしているなっ!」


ガシリ!と 朽樹 の手を握り肩が抜けるぐらいの勢いでブンブンと振られながら大柄な獣人が 朽樹 に声を掛けた。


「ワシは獣人族で白虎種の ゼン だよろしく!オヤジさんにはずいぶん世話になったおってな!まあ…なんでも聞いてくれ!」


ガハハハッ!と笑いながら ゼン は 朽樹 の肩をバンバン叩きながら言った。




獣人族の中でも一際身体能力が高い虎種は平均して2m以上の身長があり鋼鉄よりも硬い筋肉で覆われていて中級クラスの魔法(威力は一棟全壊クラス)ですら跳ね返す程。


耐久力もさることながらしなやかな柔軟性も備えている筋力から爆発的な瞬発力で繰り出される拳や蹴りの格闘術はまるで竜巻の様にあらゆる物を巻き込み粉砕する。


その戦闘力から獣人族の虎種は戦闘向けであり傭兵や要人警護の分野ではトップクラスの種族である。


その虎種のなかでも白虎種と呼ばれる先祖返りをした獣人は更に破格の強さで身体能力では虎種を赤子の手を捻るように蹂躙する程のチート振りに加え固有スキル【魔法纏い】はその名の通り全身に魔法を纏って相手を攻撃するという冗談じみたスキルも持っている。


だが獣人族でも希少な虎種の上さらに希少な種族なのでこの超大都市トッキョでも数えられる程しかいない。


「よ、よろしくお願いします。」


少し咽ながら 朽樹 は挨拶すると ゼン の横にいた深々とフードを被っていた人物が 朽樹 の傍まで歩み寄りフードを脱いだ。


黒いトレーナー風のパーカーは何年も着ているように少しくたびれていてジーンズ風のショートパンツに紺色のスニーカーをはいている。


どこか近くのコンビニに寄って夜食を買いに行くような普段着を着ている。


その来ている服とは正反対な姿が脱いだフードから現れた。


尖った耳が見える位のショーカットの髪はまるで宝石の様に銀色にキラキラと輝いていた。


髪とは対照的に赤い瞳は血の様に鈍い光を放っている。


純白の陶器の様な肌は白く異様なほど整っている顔立ちと合わさって美しさがより鮮明に表れていた。


年齢は人族でいうところの10~12歳くらいに見え美少女と言うより美幼女に近い姿をしている。


「私は エル 、魔人族の吸血種だ。 朽樹 の坊やの息子とは…時がたつのが速いな。お前さんの父親は良い男だったよ…お前さんもその素質は在りそうだから頑張んな。 」


そう言って エル はフードをかぶり直した。




全種族で最上位の魔法力を誇る魔人族。


その中でも吸血種は生命力及び魔力において頂点に立つ種族でその絶大な生命力を根源とする常軌を逸した再生力はたとえ頭部がなくなっても完全に再生する事が出来る。


体の一部が存在する限り完全に元の体に戻る為、限りなく不死に近く年齢も700歳を超える者が多い。


超寿命の為、その膨大な時間を利用して固有魔法以外のあらゆる魔法を極めており全種族を合わせても一握りしか使えない上位魔法( 威力は都市壊滅レベル ) のさらに上の超位魔法( 威力は小国壊滅レベル )をも扱える。


だた超寿命の為、獣人族の白虎種と同じ希少な種族である。


明らかに 朽樹 より年下に見える美幼女が自分の父親を坊や扱いした口調に戸惑っているとそれを察してエルは答えた。


「ああぁ、私はこう見えてもお前さんの父親よりもはるかに年上でね…だからって年寄り扱いはよしておくれよ。」


と手をヒラヒラさせながらエルは言った。


「はいっ!すみませんでした!、朽樹 宗一郎です。よろしくお願いします。」


と一礼しながら 朽樹 は挨拶をした。


「 宗一郎やさっそくで悪いがこっちにきてこの被害者にお前さんの固有魔法を使っておくれ 」


と エル に促されて 朽樹 は向かうとそこには頭部をふっ飛ばされた首なしの死体が転がっていた。







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