第3話


「さあ、今日こそ決着をつけますわよ。現代社会研究部」



 そこには我らが学園の生徒会長、星羅院アリサが座っていた。彼女こそが皇の言う学園五大美女の最後の一人である。母親がロシア人である彼女はは母親譲りの鮮やかな銀髪をなびかせ、そして透き通るような碧色の瞳でこちらを睨みつけていた。



「今日あなた達に来てもらった理由、分かっていますね。現代社会研究部、その活動内容に関してのことです。なんなんですか、この活動報告書は」


 そう言うと、彼女はいつも刹那先輩が担任の先生に提出していた活動報告書を机の上に取り出す。



「えっと、会長、俺らはなにか、問題になるような事を、しでかしたり...しちゃって......ますか...?」


 俺は四人を代表して恐る恐る会長に質問をしてみる。くっ...それにしてもすごい迫力だ。



 そうすると、星羅院会長は長いため息をついてからこう話しを続けた。



「問題も何も、そもそも問題になるようなことすらしていない。この現状が問題なんです。創部当初はまだよかったものの、最近の活動内容はなんですか!!


『大手食品企業の神凪町進出と地域土着店への影響及び所見についての報告』


大層な名前とと小難しい文章で書かれては居ますが、書かれている内容は最近出店して来たス◯パラと商店街のケーキ屋さん、どちらの方が我が学園の生徒から人気が出るのか。なんて事を主観的に書いているだけではないですか!!現代社会とは何の関係もない!!他の人は騙せても、私は騙されませんよ!!」



 刹那先輩。あんた、そんなものを部活の活動内容としてあげて居たのか。まあ、内容を全然確認していなかった俺たちの方が悪いのだが......



「ん。むう。担任供はコロッと騙せたのに」



 おいおい......何やら刹那先輩は酷い事を言っている。



「とにかく。このような活動もろくにしない、非生産的な部活に部室と予算は与えられませんわ。頑張って部活をやっている人たちに失礼だとは思わないのですか?熱意はあるのに、あなた達より小さな部室で頑張っている人たちもいるのですよ?」


「ぐむ。正論だ、はると、どうしよう」




 確かに星羅院会長の言うことは正しい。我が学園は中小様々な部活が存在して居る。それも学園長の方針によるものである。しかし、星羅院会長の言っていることは正しい。正しいのだが、なんだろうか。さっきから、何かが引っかかる。



「春跳さん。もし、会長さんがあまりうるさいようでしたらお父様にでも相談してーー」



「ダメだ、風莉さん。それは、俺達に、本当に打つ手がなくなった時の手段だ。それに、それで会長を黙らせることが出来ても、両手をあげて喜べる?」


「ですが、このままでは....」


 まさか......

 考えたくないが、星羅院会長がここまで現代社会研究部を目の敵にする理由。それは......


 俺はある程度、理由の見当をつけると自分が今考えつく最善の言葉を風莉さんにかける。



「それに、大丈夫、心配しないで風莉さん。俺に少し考えがあるから。


会長、少し、二人きりで話したいことがあります。他のみんなは帰らせてもらっても良いでしょうか」



「は、はるにい!??一体何を!?二人っきりって、もしかして会長さんに告白とかってわぶっ...!??」



「杏梨さん。少し静かにしましょうね?刹那さんも、睨まないで?」



流石風莉さん、俺の考えまでは読めていないようだが、場の空気を読んで杏梨を黙らせてくれた。



「ふっ、なるほど。良いでしょう。神宮寺春翔。あなただけはもう少し生徒会室に残って頂きます。他四名は帰っていただいても構わないですわ」

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