第2話


 いつもと同じように学校に登校すると、校門の前には、これまたいつもと同じように黒塗りの高級車が止められている。





「ええ、ここまでで結構ですよ、毎朝ご苦労様です......て、あら?春翔さん?」



 車から出てきたのは、俺の最後の幼馴染、祁答院風莉だ。彼女はこの町一番の名家、祁答院家の一人娘。言葉の端々、小さな挙動一つ一つが優雅で、長い黒髪の似合う、和風お嬢様を絵に描いたような人である。





「あ、風莉さん、おはようございます。」



「ん。風莉、おはよう」



「ふうねえおっはよー!!」



「あらあら。ほのかさん、刹那さん、それに杏梨さん。おはようございます。朝から皆さんに会えてラッキーですわ。



春翔さんも、おはようございます」




「うん、風莉さん、おはよう!」




 やっぱり、絵になる人だなぁ〜。

 ほのかと刹那先輩、杏梨にももう少し見習ってほしいものだよ。




「ん。はると。鼻の下が伸びてる。へんたい」



「ほんとですっ!はるくん酷いです!私というものがありながら、風莉さんにだらしない顔して!」


「あ、鳥さんおはよー!」



「し、失敬な!鼻の下なんか伸ばして無いぞ!」



 いや、少しは伸ばしてたかも...?なんか一人鳥と戯れてるやつもいるが.....




「あらあら、春翔さんたら」



 そんなこんな言いながら、今日も俺達の1日は始まるのだった。




ーーーーーーーーーー

2-3教室



 下駄箱まで4人で登校するが、おれとほのか以外は教室が違うのでそこで別れる。そのまま二人で我らがホーム、2年3組の教室に入る。



「よっ!神宮寺!ほのかちゃんもおはよー!今日も可愛いね〜、どう、俺と付き合わない?」




 朝っぱらからこんな風に声をかけてくるのは俺の悪友、皇すめらぎ賢人。




「おい、朝っぱらから俺の幼馴染を口説くな」



「はるくん......そんなこと言ってくれるなんてっ......嬉しいですっ。あ、皇君はあっち行ってていいですよー」



「ひ、酷いなっ、ほのかちゃーん。まあ、分かってはいたけど、なんで学園五大美女の四人が神宮寺ハーレムなんかにねえー」



「お前、またそんな事......ハーレムとか人聞きの悪いこと言うなよな、つか、お前の方こそハーレム作ってんだろうが....」



 そう、ギャルゲーの主人公の友達ポジションのような話しかけ方をしてきたこの皇賢人という男。キャラに似合わず異様にモテる。


 彼のいう学園五大美女以外の可愛い子はみんなこいつの彼女。しかも修羅場になったなどという噂は聞いたこともない。一体現実はどうなっているんだ。




「何だよ、いいじゃんハーレム。ハーレムも男の甲斐性だーー」


「そんなことより、はる君!!さっきせっちゃんたちと話してたケーキ屋さん!放課後みんなで行来ましょう!」



「あのー?ほのかちゃーん?まだ俺、話してるよー?......いい加減容赦無いよね、ほんと」




「ほらー、お前ら全員、席につけー!ホームルーム始めるぞー」



 そんにこんな下らないことを話していると、担任の先生が教室に入ってくる。



「ほのか、皇、席戻れって......皇は後でちゃんと話し聞くから、な? 泣くなって....」



「じゃあ出席とるからなー。あ、神宮寺、芒野、お前らは放課後生徒会室に行くように。生徒会長がよんでたぞ。よし、それじゃあ、赤城ーー」



 生徒会長?


 ほのかも、不安そうにこっちに視線を送ってくる。何か、したかな??





ーーーーーーーーーー


放課後 生徒会室前



 俺とほのかは、帰りのホームルームが終わるとその足で生徒会室に向かった。部屋の前まで来ると、どうやら刹那先輩と風莉さん、杏梨も呼び出されているようだった。


「はるくん、もしかして...」


 ほのかは不安そうに俺に訪ねてくる



「ああ、このメンツが呼ばれてるってことは、多分......」



「ん。その、もしかしてだろうね」



「そうですね〜」



「ん?何の話?ねえ、何の話ー?」




 一人分かっていない奴がいる様だが、放っておこう。



 俺はトントンとノックをし、中から入りなさい、と言う声を聞くと生徒会室のドアを開けた。






「さあ、今日こそ決着をつけますわよ。現代社会研究部」





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