第61夜 余興

2017/2/24 23:09

突然腑に落ちた。需要と供給だと思った。


僕には愛してくれるヒトと豊かな富がある。

僕には愛するヒトがいない。

彼女には愛してくれるヒトが居て、裕福な生活を約束されている。そこに愛は無い。


どうせ愛欲にだけ特化するので有れば、とびきり自分の事を好きでいてくれて、若くて顔が良い方が都合がよいのだろう。

だから僕たちの今は存在する。お互い、狂う程に愛に飢えている。

しかし短い逢瀬を重ねても、その寂しさが埋まる事は無い。結局、綱渡りをした所で僕たちが満たされる事はないのだ。


それでも良い、一瞬でも彼女を感じていたい。

いつだって最後の瞬間だと思える。儚く脆い僕たちの関係。最初からそうだった。




お金で心は買えない。でも


関係はお金で買う事が出来る。


僕たちがどれだけ愛し合った所で

一緒になる事は絶対に出来ない。


なぜなら

僕も彼女も

既に買われているのだから。


せめて心だけでも寄り添っていたい

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